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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/05/01 (Wed) 04:48:34

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No.178
2008/03/26 (Wed) 23:31:21

Live Show 第41話です。

少クラ総集編ですっかり萌え。
リーダー坂本、ナイフ兄さん武勇伝。

なんだか平家派がとても可愛い集団に見えてきました(←危険)


出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行 ・ 三宅 健 ・ 森田 剛










友愛か、独りよがりか。いずれにせよ根底にあるのは傲慢という醜聞。

 ミルクパンがまったりと運ぶのは、甘い牛乳の匂い。コーヒーをブラックで通すメンバーもいるが、三宅は温かくて砂糖の入ったカフェオレが好きだ。ほとんど料理をするという行為に利用されることがないキッチンで、けれどこの時間はそんな三宅を癒す。火の入ったコンロの上で、じわじわと熱を育んでいくミルクパンを眺める時間が。

「ああ、それ?今までのCDとか台本とかビデオとかだよ。もう考えてないけど、一時は処分する気でダンボールに詰めたの。したらさぁ、片すのが面倒になっちゃって。」

食器棚からマグカップを2つ取り出す。コーヒーと、たっぷりの砂糖と、少し泡立てた温かい牛乳。子ども扱いされても、好きなものなのだからやめられない。淡いブラウンと白のコントラストが、やわらかさを演出している。

「やめてよ。スポーツ新聞なんて買い始めたら、俺オヤジじゃん。坂本くんが捨てるって言うからもらったの。長野くんと岡田のドラマのこと載ってたし。」

今日もいい出来だ。完成品にそんな自画自賛を送って、三宅は2つのマグカップを手にした。一つは自分に、もう一つは何の気まぐれか家まで訪ねてきた・・・

「ちょっとー、せっかく来といて寝ないでよね、剛。」

「あー。」

三宅にとっての最後の一線はV6ではなく、このソファですっかりだらけて寝に入ろうとしている森田剛だ。少なくとも、自分の中ではそう位置づけている。いつでも、何があっても、今回だって、変わらない態度で接してくれるイーブンな存在。一緒に過ごせば心地いいし、気を張る必要もない。偽りは決して通用しない相手。

「で、どーしたの?剛のほうからわざわざ来てくれるなんて、かなりミラクルじゃん。」

「うるせぇ、ただの気まぐれだよ。」

「ふぅん。」

嘘だ。いや、そんな汚いものではなく、ただの照れ隠し。知っている。誰より自分の気持ちを人に伝えることに不器用なこと。

「カフェオレ、うめぇ。」

寝転がったまま一口だけカップに口を付け、呟いた。体たらくの限りを尽くしたような動作だが、ちっとも嫌味に感じない。きっと、それは森田だからだ。高くて遠いところを歩いているあの人たちが振り返っても、できるはずのないこれは心を覗くなんて無粋な真似をしなくても、手に取るように理解出来る主張。

「何しにきたの。」

人の家に上がりこんでソファを占領し、時々手近にあるものを物色しては放り出す森田に、三宅は呆れたような口調で聞いた。きちんとたたんでかばんに入れていたはずのスポーツ新聞はでたらめに畳まれていて、なのに笑ってしまったのは、上になっていたページは、三宅が口にしたメンバーのドラマの記事だったからだろう。実在するかどうかも分からない希望よりも、ずっと強い人が傍にいることを、本当はちゃんと知っていた。

「ねぇ、ホント寝ないでよ。」

「お前がどうしてんのか、見に来たんだよ。」

言われても、見ての通りですが。という回答しか頭には浮かばない。昨日だって打ち合わせで一緒だったのだから、新しい何かを求められても困る。・・・そういえば、森田はどうなのだろう。

「そっちこそ、どうなってんの?」

今回、誰より冷静で客観的な役回りをとっていた。変わることのない自身でい続けたのは、唯一、森田だけ。

「ねぇ、どうなのさ?」

質問が聞こえていないかのようにカフェオレに手を伸ばそうとしたのを捕らえて、カップを遠ざけてみた。空を切った手は、あっさりと引っ込められる。三宅の家に足を運んだ理由の中に、おそらく自分の話をするということは入れていなかったのだ。けれど一番近い距離を感じさせてくれる森田に、聞いてみたくて仕方がなかった。どういう心境でいたのかと。ただ、この変に警戒心が強い人が自分の手の内を無条件に率先して明かすことなど、きっとこの先何時間待っても有り得ない。遠ざけたカップを押し戻し、三宅は森田の隣りに移動する。さすがに、向かい合って目が合ってしまったら恐いから。

「恋のシグナルが、答えみたいなもんかな。」

あれが、自分なりに考えて選んだ答えの第一歩。

「井ノ原くんの影響受けてるのかもしんないけどさ、岡田がスゲー熱かったんだよね。かなり押しまくってきたの。昔、カミセンでチョコのCMやったときのこと、細かく憶えててさ、なんか妙に積極的で、っていうより、一生懸命、みたいな。」

そこで話を一旦切り、三宅はテレビをつける。ビデオの再生ボタンを押せば、もう何度も見た、

「このロケ、剛もスタジオ収録のときに見たでしょ。元校長先生と井ノ原くん、ロケが終わってからもずっと親しくしてたんだってさ、男の子、よしくんはね、両親が共働きだから毎日ここに預けられてんの。でも、一言も寂しいとかお父さんとお母さんと遊びたいとか、言わなかった。必死で笑って、全身全霊で虚勢張ってたんだ。すごく、井ノ原くんと似てた。」

ぬるくなり始めたせいで、口を付けたカフェオレは甘みを増していたと思う。が、三宅の口に広がったのは苦味。

「自分がいかに中途半端に関わろうとしてたかに気付いて、どれだけ勝手な思い込みで一方的に被害者気取りでいたのか、よく分かった。坂本くんも長野くんも、ただ井ノ原くんを守りたかっただけなのに。」

こんな事実を人に話すことは、普通ならばきっと憚られただろう。話せたのは、相手が森田だったから。静かに受け止めてくれる、いつも三宅に対しては手を広げていてくれる人だったから。

「俺、まだ戻れるかなぁ。」

搾り出した呟きが、都合のいい理想論だということは百も承知。けれど叶うのならば、あの中へこそ戻りたいと願う。

「とっくに戻ってんじゃん。」

遠くないよ。と、示して。

「そうなの?」

「っつーかさ、別に抜けてなくね?」

焼きつくほどにまっすぐな視線。

「そうなんだ。」

カフェオレはもう甘い。いつものやわらかなそれになった。じんわりと心の中に波紋のように描き出される感覚は、きっと好きなもの。希った、特別。

「あとちょっとだろ。」

「え?」

「あとちょっとなんだと、思う。」

何が?と聞こうとして、やめた。森田は嬉しそうにくすぐったそうに笑っているのだから。黒をすべて塗りつぶす眩い色を流していてくれる。ただ隣りに座って、笑って、ふわふわと宙を漂うように身を委ねて、ゆったりとソファにもたれてみれば、繰り返し浮かぶのは、井ノ原からもらった言葉だった。

 

 「俺、カミセンの伴奏で歌いたいんだ。」

 驚きと同時に、軽い目眩がした。内緒の大切な話があると、打ち合わせもないのに井ノ原に呼び出された坂本は、すこぶる上機嫌でホワイトボードに曲名を書き足す姿に、ため息をつくしかリアクションが出てこない。V6には、とても有効なコミュニケーションツールとして持ち歌がある。新曲が出るとき、アルバムが出るとき、ライブをやるとき、どんなにそれぞれの活動が忙しくても6人が揃うことになる。そこでつながりを確かめたり、改めて帰ってくる場所があるということを実感したりできるのだ。考える方向性は間違ってはいないのだろう。が、どうしてここに行き着いてしまったのか。

Dahliaをね、トニセンで歌うんだ。剛がアコースティックギターで、健がウッドベースで、岡田がパーカッション、やるの。きっとすごくいい出来になるよ。新しい世界観。絶対に6人が揃ってて、通い合わないと作り上げられない。」

とてもおもしろいコラボレーションだと、正直なところ思っている。同時に、何をカミセンから非難轟々食らいそうなことを言い出してくれるのだ。とも。坂本にはとてもとても呆れてしまって告げられる言葉が見つからない。

「できるよ。やりたい。」

決して井ノ原はめちゃくちゃな駄々をこねているわけではない。自分は、カミセンを信頼していると主張しているだけだ。トニセンとカミセンでなら、この6人でなら出来ると、信じて一ミリも疑わないという信念を貫き通して。坂本と決定的に違うのは、ここだ。信じられると判断を下すなり走り出せるところ。坂本ならば信じると決めても、さらにその後に考えるだろう。本当にちゃんとできるのだろうか?何か落とし穴が待ち受けていやしないだろうか?だからこそ、違う立場と役目でバランスを取ることができるのだろう。よく、分かっている。頭の中では充分に理解出来ている。ただ、言葉にするだけの瞬発力はない。言葉にした途端に、それがプレッシャーに変わって自分を苛む要因になりうるからだ。

「俺、この曲をやりたい。今回のタイミングじゃなきゃ、ダメなんだ。」

難しい。咄嗟に下した判断。とても興味をそそられる。心の奥で飛び出そうとしている本音。

「俺たちから歩み寄ることも、必要だと思う。」

とても行きたい。でも負ける選択をするかもしれないのは厳しい。

「カミセンとやりたい。」

ちゃんと交わりあえるだろうか。

「坂本くん。」

この6人ならば大丈夫だと、言っても?

「俺たちなら、できるって信じてる。」

考えることも沈黙を守ることも、本当はすでに必要ない。素直な感情に逆らうことなく進んでいった先に待っているのは、ヒカリあふれる世界だと、とっくに気付いている。

「大丈夫。きっと、ううん、絶対に大丈夫。」

「・・・・・分かった。但しカミセンには、お前から伝えろ。お前の言葉で、ちゃんとな。」

「もちろん!」

井ノ原のキラキラした笑顔を見たのは、どれくらいぶりだろうか。ワクワクしつつ緊張しているなんて新鮮な感情を、とても久しぶりに抱いている。坂本は取り立てて大事件でもない出来事に、胸を高鳴らせてイメージを膨らませる自分に苦笑した。そして、胸の中の綻びをするすると縫い合わせてくれる好奇心に、歓喜した。教科書通りの理論武装をぶち破って、本気の助走で飛び出したそこにある光景が、今は待ち遠しくて仕方がない。井ノ原の話を聞いたのだ。井ノ原が井ノ原の言葉で話す話を聞いたのだ。いつも笑顔であり続けることが困難だとは、悟らせないように必死に気を張っているのとは違う井ノ原の、笑顔を見たのだ。

「お前、ホント癒し系な。」

だったら死ぬ気で応えてみせよう。形振り構わず、信じ抜いてみせよう。

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