今日のものはタイトル先行型でした。
なんとなく響きが気に入って、それにストーリーを付けたものです。
楽園とオムライス
何年もかけて、やっとここまで溶かしたんだ。
だから、もう過去には触れないでいて。
どうかこの生ぬるい温室の中には、入らないでいて。
井ノ原 快彦 自殺した親友の影を8年も追い続けている。
引き込もりだったが、最近は外に出るように。
過去と決別できそうだと言っていたが・・・
坂本 昌行 自殺した男は井ノ原と共通の親友だった。
心を痛めた井ノ原を、ずっと手元で守っている。
長野 博 自殺した2人の親友と瓜二つの男。
坂本の部屋の近所に住んでいるという。
8年前、井ノ原と坂本の親友だった男が、井ノ原の目の前で自殺した。そのショックで、引きこもり、拒食症になってしまった井ノ原を、坂本はゆっくりと優しく、守るように、すべての存在から隠すように過ごしてきた。
長い時間をかけて、やっと井ノ原は部屋から出てきて、少しだけ笑うようになって、食事がしたいと言ってくれるようになって、食べてくれるのは親友が大好きだと嬉しそうに言っていた坂本の作るケチャップオムライスだけだけれど、まだまだ完食はしてくれないけれど、それでも、光が見え始めた気がしていた。前に進めるような気がすると、すぐには無理でも、そんな日が来る気がすると言ってくれたから。
ところがある日、あえて人通りの少ない時間を選んで外に出た坂本と井ノ原の前に、1人の男が現れる。その男は自殺した親友に生き写しの姿でそこに立っていて、2人して釘付けになっていたら、やはりというか、親友と同じようにふわりと笑って、「何か?」と聞いてきた。
その後のことを、坂本はよく憶えていない。気が付けばリビングでビールを飲んでいた。目の前には空になった缶が散乱していて、当然、井ノ原の姿はなかった。あんなにも必死で守ってきたのに、必死で、傷を癒そうとしてきたのに。一瞬で壊れて、傷口は引き裂かれて、振り出しに戻る。分かっていたけれど、無視もできなくて部屋をそっと覗けば、そこにはシーツに包まって震える井ノ原の姿。か弱く縮こまる、絶対的な、闇。
ただのご近所だといったその男を、どうしても他人だとは思えない坂本。何度となくその男と接触を試みる。するとその男は性格も親友と似ていることが分かって、どこか心惹かれてしまい、1ヶ月も経てばとても親しくなってしまって・・・・・
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