大ネプリーグの番宣が流れていますね。
おもしろ回答で愉しませてくれそうな雰囲気です。
零戦マスター
目の前に置かれた模型の零戦を見つめて、どこまでいっても納得がいかない頑固な自分に苦笑する。いつかこの日が来ることは知っていた。だから、決めていたのに。有終の美を一緒に飾る戦闘機を。
後になって冷静に考えてみて、なんて無謀なことをやり始めたのだろうと思った。この国を乗っ取ろうと、一番最初に言い出したのは誰だったか。こんな大きなことを、その場のノリで決めてしまったのだから始末に負えない。でも、乗りかかった船。どこまでもみんなで行こうと約束した。その約束は、必ず果たさなければいけない。大切な仲間と共有した、最初で最後の約束だから。
時間がない。譲りたくはないけれど、譲らなければいけない時が来た。薄暗い格納庫で一人、井ノ原は相棒である零戦『風花』を見上げる。デザインも性能も、どんな零戦にも負けないと自負していた。たくさんの修羅場を共に潜り抜けてきた、かけがえのない存在だ。世界で2番目に優秀な、零戦。これに乗れば、できないことなんてないと信じられる。そんな相棒を差し置いてでも、乗りたい世界で1番の零戦があったのだけれど、もう、迷っている時間がなくなってしまった。仲間たちは猛反対するに決まっているから黙っていく自分を、バカだと思う。だってきっと、知ればみんな、怒ると分かりきっているし。
道を切り拓くという意味では、強ち間違ってもいないはず。コックピットに座って思い浮かべるのは、ついさっきまで一緒だった仲間たちの笑顔。西からやって来た、才色兼備で優しい男。口論は耐えないのに、いつも息がぴったりの2人組。穏やかな笑顔で容赦なく敵を蹴散らす、いつも支えてくれた兄のような男。そして、ばらばらな個性で騒ぎの絶えないみんなを束ね、たくさんの責任を一人で背負い続けてくれた男。その人とは最後は大喧嘩で終わってしまって、心残りがあるとしたら、それだけ。歴史に名を残すほど有能な零戦技師を祖父に持ち、遺伝なのかその技術をしっかり受け継いでいて、けれど井ノ原が望んだ零戦は絶対に造ってくれなくて。死ぬな。というメッセージ。痛いほど伝わってくる。特攻に使おうと考えていることなんてお見通し。死ぬための零戦なんて、必要ないと頑なに拒否してくれた。けど、確かに特攻を選べば結末は死ぬことだけど、そうしてでも仲間の力になりたいと望む。この戦いを、勝利で終わらせてやりたい。だから、決して無駄じゃないから。
「ごめんね、大目に見てね。」
井ノ原はいつも通りエンジンをかけると、一度だけ振り返って、まっすぐ前を見据えた。
井ノ原 快彦 戦闘機乗り。
敵軍の要である空母への特攻を目論む。
坂本にその為の零戦を造ってくれと依頼していた。
坂本 昌行 反政府軍リーダーで零戦技師。
井ノ原からの零戦作成依頼を、頑なに拒否する。
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