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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/27 (Sat) 10:15:54

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No.139
2007/12/26 (Wed) 23:33:49

更新強化月間26日目です。

いいとものテレフォン振り返りでイノ発見。

なんだか随分昔に感じましたね。

そういえば映画、今年だったんですよねぇ。


CALL US

 

 6月26日 1900

 

 外来はこんなにも混雑していて手が足りていないというのに、待ちくたびれた患者が些細な事で待合室で乱闘騒ぎを繰り広げ、余計な仕事を増やしてくれた。乱闘騒ぎに参戦した患者はもちろん、それを止めようとした周囲の患者、病院のスタッフが負傷し、1名の重症患者までこんなところで新たに出してしまう結果になった。救急は断っても患者を搬送してくるし、ヨーロッパの学会に出ていた診療部長一行が帰ってきて、手伝いもせずにご機嫌で土産を配り歩いている。診療部長は大事な用事があるからと井ノ原を探しているという話をちらほら聞いたが、幸いな事に、まだ遭遇はしていない。大事な話の内容は簡単に想像できた。診療部長は西脇医大の教授陣と学会に出席、その流れで帰国してここに来ている。と言うことは、井ノ原を西脇医大の教授陣に紹介したいのだろう。そのついでに土産話もして、ゆっくりコーヒーでも飲んで。などと悠長な事を思っているに違いない。救命は受付が終わってもこんなにも忙しく動いているというのに、のんきなものだ。

その井ノ原は診療部長の一行と遭遇しないように治療に駆け回り、今はこっそりと一息ついていた。すばらしい事に、ここの救命には優秀なスタッフが大量に在籍してくれている。井ノ原一人がほんの少し抜けたくらいで傾く事はない。何年か前の、一人でも抜けたらにっちもさっちも行かない状況が嘘のようだ。他の部署に比べれば忙しさは桁外れだそうだが、こんなものは井ノ原に言わせればまだ序の口。手が足りないながらにやっていけているうちは構わなかった。

「誰だ、こんなところでサボってるのは。」

「急患?」

「だったらこんなに落ち着いてねぇよ。サボりのお供にと思って、コーヒーを持ってきてやったんだ。」

言いながらコーヒーを手渡し、坂本はごく自然に井ノ原の隣りに座った。結局自分の分もコーヒーを持参していて、こっそり一息つこうというのが一番の目的なのだろう。

「どう?中は。」

「相変わらずだよ。でも昨日よりは若干少ないかもしれないな。診療部長ご一行様が、かなり邪魔だけど。」

「自慢話したくてしょうがないんだよ。」

「井ノ原の事、探してた。」

「放っといていい。」

「あと、剛が部長に怒ってた。一応医者なんだったら治療を手伝えって。部長からのお土産だった木靴のキーホルダーは哀れゴミ箱行き。」

「木靴?ドイツなのに?」

「ああ、なんだかオランダにもついでに寄ったみたいだな。みんなに配ってた。」

「そりゃお気楽な事で。」

「あれじゃあどっちがメインだったのか分かんねぇよ。病院の経費で。」

「1週間もしたら、その土産話にも飽きるよ。それまでのガマン。」

「慣れてるね。」

「開き直っただけ。」

「さすがは次期部長候補。」

「バカなこと言ってないで、さっさと帰ったら?1時間前に勤務は終わったはずでしょ。ダラダラ残ってたら、急患が来て帰りそびれるかもよ。」

「言われなくてもそうするさ。俺は残業が大嫌いだからな。お疲れ。」

公務員じゃあるまいし。そう突っ込みながら、井ノ原は鼻歌交じりにご帰宅の背中を見送る。自分のペースを乱されることを、それが誰であろうと許さない。羨ましい性格。そんな坂本はまだこの病院に来て、1年半と時間が浅い。部長の道楽ぶりも鼻につくのだろう。井ノ原は複雑そうな坂本の横顔を思い出すと、思わず笑った。まだこの病院に来たばかりの頃の、自分たちが思い出されるようで。

 

 6月26日 1940

 

 救急車からの無線と大声で大激論を交わしているのは三宅。これ以上の受け入れは無理だと言っているのに、次々に無理から搬送されてくる。無線に無理だと怒り、患者を搬送してきた救急隊員を呼び止めては、強引な事をするなと怒る。さっきも、呑気にオランダ土産を持ってきた部長一行を「何もしないんだったら出て行ってください!」と怒鳴ったばかりだ。

「よっちゃんの仕事を増やしてる人はっけーん!」

おどけた声で三宅の肩越しに顔をのぞかせたのは長野。こうしてスタッフが感情のままにその場その場で対応をすると、あとでフォローしなければいけないのは、救急診療主任の井ノ原。そのフォローがいかに井ノ原にとって負担かを、おそらく一番よく知っている。

「5分後に食中毒の子供会がくるらしいよ。」

「はぐらかしてもだめ。」

「搬送してきても受け入れられなかったら、意味ないでしょ。」

「普通の理論としてはそうだね。でもまぁ、一応は部長様もいることだし、なるべく穏便にいこうよ。ね。」

「長野先生。」

「何?」

「来たよ、子供会。」

三宅は今の長野の話がまるでなかったように、誰かに呼ばれて行ってしまった。子供の患者が団体で来てしまったので長野はそちらに借り出されたが、三宅のことが気になって仕方なかった。自分が昔、同じような感じで井ノ原に散々迷惑をかけてきたから。

「長野先生っ、ボーっとしない!」

「はいはい。」

看護士にせっつかれて、長野は苦笑しながら子ども会の相手に意識を戻す。往々にして、こういうケースで大変なのは、一緒に付いて来た保護者たちの相手。やたら感情的になっていて、別に長野のせいではないのに長野に食って掛かる。

「じゃあ親御さんを待合室に案内して。」

治療の手順その1.とりあえず邪魔になるので親は撤収。看護士にしてみればこれが一番いやな仕事かもしれない。なだめて、すかして、親を待合室に移動させる。けれど大事な仕事ではある。長野はその様子に苦笑しながら、子供たちの治療を始めた。

 

 6月26日 2030

 

 混雑した病院の中を、ふんぞり返って部長ご一行様が歩き回り、周囲の気分を害していた。それをたびたび見かけていた三宅の怒りがMAXに達しようとしていたとき、拍車をかけるような行動を部長が取った。

「がんばってる労働者諸君に、わたしから心ばかりの贈り物だ!」

『ポン!』っと乾いた音が響き渡り、受付周辺はビショビショ。漂うのは、アルコール臭。

「フランスから空輸させた高級シャンパンだ。どうだね?」

「・・・ていけ。」

「ん?なんだ、あまりの美酒に感極まったか?」

「とっとと出て行け!あんたらみたいな医者の出来損ないが、ここのERを我が物顔で歩いてたら目障りなんだよ!」

「貴様・・・」

「お願いします!」

三宅がさらに浴びせようとした言葉を遮るように、救急隊員が駆け込んでくる。

「レストランで食事中に突然倒れた男性。激しい胸部通を訴えた後、意識喪失。救急車内で20秒ほどの心停止あり。心マッサで蘇生。」

「外傷の2番に入れて!GCSは?」

「3―3―2!血圧は触診で・・・・・」

いいタイミングで来てくれた。胸を撫で下ろしながら、長野はシャンパンまみれになった受付のカルテを、一冊ずつ片付ける作業を始めた。憤懣やるかたない部長一行は、一気に不機嫌になって、足早に去っていく。また小言を聞かされて、謝るのは井ノ原の仕事になる。そう思いながらも、長野は少し胸の中がすっきりしたような気もしていた。

 

 

 井ノ原 快彦 ・・・ 救命救急診療主任。波風を立てないが目標。

            医者として優秀で、時期部長候補と名高い。

 

 坂本 昌行  ・・・ 救命救急医。優秀だが性格は適当。

            自分のペースを乱されることを嫌う。

 

 長野 博   ・・・ 救命救急小児科医。子供が大好き。

            大人相手には喧嘩早く、だが腕っ節は弱い。

 

 森田 剛   ・・・ 救命救急外科医。仕事一筋のオペマニア。

            自分ルールを振りかざす問題児。

 

 三宅 健   ・・・ 救命救急受付。常に冷静で、冷めた性格。

            お菓子と引き換えに何かと引き受けてくれる。

 

 岡田 准一  ・・・ 研修医。熱意はあるが経験がない上に不器用。

            学資ローンの返済を随分と滞らせている。
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