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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/05/06 (Mon) 03:32:45

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No.161
2008/02/11 (Mon) 10:53:04

Live Show 第27話です。

自分で考えて登場させたコスモレンジャーのせいで苦戦しました。



出演 : 井ノ原 快彦 ・ 長野 博 ・ 森田 剛
      三宅 健 ・ 岡田 准一










 真っ赤な目をしてばつ悪そうに長野の車までやって来た井ノ原は、車にもたれて待っていた岡田を見るなり、さらにその表情を色濃くする。急に夢から醒めたような気がした。当たり前のことだが、V6のメンバーは自分と長野だけではない。わざわざ迎えに来てもらって、帰ろうとやさしく促されてついてきたけれど、他のメンバーと顔を合わせると、なんと言うか、やはり居心地が悪いのだ。これまでの自分の行動がそうさせているのだから自業自得なのかもしれないが、いつものキャラにスイッチできない自分をもどかしく感じる。

「おかえり。じゃあ帰ろか。」

困惑を隠せないでいた井ノ原は、あまりにあっさりとした岡田の態度に拍子抜けした。そそくさと車に乗り込んだ岡田は、開いたままのドアから顔をのぞかせ、言う。

「帰らんの?いのっち。」

その声が態度とは裏腹に不安をにじませたもので、井ノ原は慌てて取り繕うように、殊更明るい口調を意識して、答えた。

「帰るよ。岡田も、迎えに来てくれてありがとうな。」

「俺は、なんも。この車は博のやし、運転するのも博やし、いのっちがここにおるはずやから、迎えに行きたいって言い出したんも博やし、やから、別に・・・」

「でもさ、一緒に来てくれたから。」

「やって俺も、いのっちのこと、気になってたから。」

「うん。だから、ありがとう。」

まっすぐに目を見てではないけれど言えば、岡田はとても照れくさそうに頷いて、窓の外に視線を向けてしまった。持っていた絵とギターを助手席に乗せて、自分は後部座席に乗り込めば、車は滑るように走り出した。長野も岡田も、何も話しかけては来ない。井ノ原の心情を察してくれているのだろうかと自惚れたことを考えれば、何となく安心してしまって、ぼんやりと流れる風景を見ながら、瞼が重力に逆らうことなく落ちてきた。都内まではかなり時間がかかる。井ノ原はだらりとシートの上で姿勢を崩し、ほんの数分で寝息を立て始めた。

 帰り道、高速に乗るなり渋滞に参加してしまった。徒歩のほうが断然早い。といえるほどに進まない車の中で、岡田はじっと井ノ原の寝顔を見つめている。なんとも難しそうに眉根に皺を寄せて、まるで考え事をするために目を閉じているかのようにも見えた。

「井ノ原、寝てる?」

小声で、探るように運転席の長野から声がかかる。

「寝とるよ。すごい難しい顔してる。」

「そう。・・・・・井ノ原ね、帰るのが恐いって言ったんだ。これまでのこと、当たり前なんだろうけどさ、すごく気に病んでて、自分はV6にいちゃいけないって決め付けてた。だから優しい言葉をいっぱい並べて、連れてきたんだけど・・・・・」

「いのっちは頑固やからね。」

「遺産さ、いらないって弁護士の人に言ってたよ。欲しかったのは写真だけだから。って。で、弁護士が帰ったあと、『ありがとうのうた』を歌ってた。」

「じゃあ、いのっちの探してた本当の宝物って、写真やったってこと?」

「みたいだね。いい集合写真だった。学校のロケのときのじゃないかな。学生さんとか、健とかスタッフもいたし。きっとすごく大切な写真だったんだと思う。」

大切にする気持ちが大きくなりすぎて、こんなことになったなんて井ノ原らしい。もっと詳しく掘り下げた質問を長野にしようと思っていたのに、充分だと結論付けてしまう自分がいる。覆いかぶさるように顔にかかった井ノ原の前髪を静かに梳いて、岡田は耳元で小さく呟いた。

「お願い、聞いてくれてありがとう。」

やはり耳打ちは大胆すぎたか、井ノ原が軽く身じろぎをしたので岡田は慌てて距離を取る。しかし起きてくる様子はなく、ほんの数秒で穏やかな寝息が聞こえ始めた。外に目をやれば、渋滞は延々と続いている。テールランプの行列は無機質だけれど夕方の寂しさの演出を巧みに助けていて、考えてしまうのは、これからのこと。

「なぁ、この先の俺らって、どうなるんやろう?」

「分からないよ。」

岡田の問いに、長野は単調に一言で答えた。すべてが解決したわけでないことは、お互いが心の中でちゃんと知っている。一歩でも前進したことは喜ばしいことで、正直に喜んでおくべきなんだろうな。と思う。同時に、あまり力になれていない自分に、岡田は苦笑をこぼした。ミラー越しに後部座席をチラチラと見ていた長野が、それに気づいたのか小さなため息をついて、言う。

「ねぇ、岡田。『ありがとうのうた』聞きたいな。」

「・・・ええよ。」

「えっ、いいの?」

「聞きたいな。って振っといて、なんで驚くかなぁ。」

「だって、岡田のキャラじゃないじゃん。」

「今日はそういう気分やから、ええの。」

歌うことで僅かでも長野の力になれるのならば、悪くない。大切に想う人の望みに応えることがどれだけ大切かを、知ったばかりなのだし。

 本心を隠して強がるのが大人なわけではないと、改めて気付いたのはみんなのおかげだ。

 

 元は赤の他人だった。自分の意思とは別のところで集められた。反発しあって、すれ違って、やっとで上辺だけは誤魔化せるようにまでなった。だから、あまりに脆い。メッキは剥がれたっておかしくなかったのに、忘れていた。穏やかな日常が少しの間続いていたから、油断していたのだ。自分たちは別の人間だから、完全に相容れる日なんて訪れるわけがない。いまさらどうしてショックを受けなければいけない?始めから、分かっていたこと。心の奥のどこかではずっと、自分に対して警鐘を鳴らすことはやめていなかったはずだ。だったら守らなければ。自分のことは自分で守らなければ、容易く壊される。させるものか、騙されない。いつまでもあどけない年下のメンバーだと見くびって省いたことなど、どうでもいいと笑ってやる。

 だからもう、君さえもいらない。

 昔の映像たちを、テレビが垂れ流している。V6であることに妙に拘っていた自分が嘘のように、三宅の中をそれらの視覚的情報がスルスルと流れては、消えていく。割り切ってしまえば簡単なことだ。最近よく送られて来る岡田からのメールに、一度も返信していない。6人でレギュラー番組の収録があれば集まるけれど、それはもう少し先の話。でも、会う日が来ることには変わりない。それまでに固めておこうと思っている。何を見ても、聞かされても、揺るぐことのない聳え立つほどの壁を。心細いから。本当は強くもなんともない、体の大きさに見合った成長をしなかった心が、潰れそうだから。だから、守らないと。何があっても。

 何かが指先にぶつかった。見ればそれはチョコレートの箱。確か、岡田に貰ったような気がする。まだ中身が入っていたけれど、激しくどうでもいいと感じて、ゴミ箱に放り込んだ。カバンが視界に入って、昨日のことを思い出す。一緒にロケに行った森田に、聞いてみた。

「ねぇ、剛。俺ってさ、V6かな?」

軽い調子で切り出されたディープな質問に、森田はニヤリと笑って答えた。

「お前は、どう思ってんだよ?」

質問に質問返し。面倒だな、答えだけ聞かせてくれればいいのに。と思いながらも、三宅は調子を変えることなく答えた。

「タレント名鑑では、そうなってるよ。」

すると森田は、フイと顔をそらして言ったのだ。

「つまんねぇ答え。」

なるほどな。と、どこか納得してしまった三宅は、もう一つ答えを付け足してみる。

「今日の台本にも、三宅健(V6)って書いてあるしね。」

しかし森田は、もう何も答えなかった。つまらない人間とは話をしたくない。という意思表示なのだと、三宅は勝手な理解を頭の中で示した。いったい何を考えているのか掴めない。目の前にいる、考えてみれば誰より深く付き合ってきたであろうメンバーなら、明確な答えをくれるかもしれないと甘い希望を抱いた自分が、バカらしい。結局、そう。居場所がない。質問は自分に虚しさを与えただけだった。すべて面倒だという感覚さえある。終わるならば終わるで、早く終わってくれないと疲れるだけなのにと、三宅は強く思った。

 無関心を装って、流れを静観してみようか。

 

 2人きりの車内をにぎわせているのは、コスモレンジャーの主題歌。岡田を自宅前で降ろし、井ノ原も自宅前で降ろし、帰宅。そうなる予定だった。やっとで渋滞を抜け出して、長時間続いた徐行運転に疲労感さえ感じながら、すでに夜になってしまった住宅街を走っている間も、井ノ原が目を覚ますことはなかった。始めの目的地である岡田の自宅マンション前で、小声で挨拶を交わして岡田を降ろし、何気なくカーラジオのスイッチを入れたとき、後部座席から呼ばれた。

「ながのくん?」

「ごめん、起こした?」

「よし、だいじょうぶだよ。もういっぱいねたもん。」

思わずブレーキを踏んだ。振り返れば、眼球に指を突っ込みそうな勢いで目をこすっている井ノ原が、長野の視線に気付いて、ふにゃりと笑った。久しぶりに会う、6歳の井ノ原。さすがの長野も若干だが身構える。しかし当の本人はいたって普段通りで、元気いっぱいにリクエストをしてくれた。

「よし、コスモレンジャーききたい!」

「いいよ。」

カーナビを操作し、6歳の井ノ原用の音源を再生する。流れてくるのは、もう飽きるほどに聞かされている、コスモレンジャーのテーマソング。

「よっちゃんは、この歌が好きだねー。」

「うん。ぜんぶうたえるよ。」

「じゃあ、歌って聞かせてくださーい。」

「りょーかい!」

という軽い会話がきっかけで、6歳の井ノ原のエンドレスで歌うコスモレンジャーの歌は始まった。勘が鈍ってなくてよかった。と胸を撫で下ろしながら、気付く。こうなった井ノ原を、自宅に送り届けても仕方がない。つまり、帰る場所は自動的に長野の自宅ということになる。思考を巡らせて、今晩はオムライスでも作ろう。と決めてみた。

「ひとみとじたらやみが きみのえがおをつつんでしまうよ てんくうをかけぬけるつばさで りょうていっぱいのほしをあつめるから むじゃきなえがおでなまえをよんで きみがうみだすえがおがちからになる ひかりかがやくみらいは いんあわーはーんど」

子供向けの特撮の主題歌にしては、随分ロマンチックだ。6歳の井ノ原が意味を理解して歌っているとは思えないが、「笑顔で名前呼んで。」というフレーズにくすぐったさを感じる。井ノ原に笑顔で名前を呼ばれれば悪い気はしないし、逆に井ノ原がそれを望めばやってしまうだろう。夕食の支度ができるまで、溜め録りをしておいたコスモレンジャーのビデオを見せてあげよう。と思いながら、長野は楽しい夜のドライブを満喫していた。途切れることのない歌声は、自宅に到着するまで途切れることなく続く。

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