忍者ブログ
AdminWriteComment
V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/24 (Wed) 01:53:28

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.351
2009/12/31 (Thu) 14:53:29

『秋のものかきさんの祭典2009』出展作品をアップです。

本年も、たくさんの皆様にお世話になりました。
ありがとうございました。
心より、感謝いたしております。

今年はすっかり更新が滞りがちではありましたが、
来年こそは、元の調子に戻していけたらいいなぁと考えております。
なにせアニバーサリーイヤーですからね。

さて、今年の祭典さまのテーマは『はじめて』でした。
入り口を探すのが非常に難しかったです。
字数制限があるので、あまり話は膨らませられません。
とあれば、
初対面なんてことにするとごとーの場合は絶対に纏められないに決まっています。
なので『はじめて』行われたこと。について書かせていただいております。
いや、難産でした。本当に。

最後になりましたが、こんなお粗末なサイトにご声援くださったみなさまに、
今年一年の感謝の気持ちと、来年も何とぞよろしくお願いいたしますの気持ちを込めまして、
2009年最後の更新を締めくくらせていただきたいと思います。


出演 : V6














 明るくて元気で実弟のような錯覚に陥りそうな親友であるあの子は、初めて俺を本気で怒らせた次の日に見事逃げ果せた。絶対に許さないと心に強く誓ったのにそれを打ち崩さざるを得なくなった日から、奇しくもそばであの子を見続けていたというあの人が現れた。勝手知ったる。と言わんばかりに勝ち誇った笑みを浮かべてあの人は俺に、
「大切に想ってんならさ、泣かせたままっておかしくねぇ?」
射抜くような視線を一秒たりとも逸らすことなく、宣戦布告よろしくあの子の想いを代弁して俺をねじ伏せた。
「これで・・・・・」
「結果を出せ。そこで初めてアイツは心から嬉しいと感じられるハズだから。」
あとになって冷静に考えることだけれど、それは人間として道を逸脱した行為であると同時に、何より尊い第一歩であったのだろう。
 
 
 
 
 
 
 D・N・S
 
 
 
 
 
 
 世界中の話題を集めた画期的な新商品だった。初の試みとマスコミに対して大々的に発表され、解禁と同時に注文や質問の殺到したそれは、大いなる犠牲の上に生まれたこの世で最も救いたいと願う大切な人のための薬だった。
 
 『ドリーム・ナビゲイト・スイーツ』=通称D・N・S。傷ついたり病んでしまった心を救う素敵な夢を見られる薬。精神科や心療内科など、その強い効果故に対医療機関のみに販売された。D・N・Sのご加護にあずかり健康的な精神状態を取り戻した人々からは絶賛の声が寄せられ、今となってはストレス社会のスタンダードアイテムとなりつつある。
 開発したのは井ノ原快彦という薬科大学院の准教授。新たな抗鬱薬の研究を続ける中で、鬱になること自体を未然に防ぐ方法を模索し、この開発に辿り着いたのだ。ノーベル賞も射程距離内に捉えたと高い評価を得つつ、彼は一切の取材を拒絶した。自らの言葉で意見を披露したのは唯一、代理だという同じ大学の研究員が代理で発表した論文のみ。ネット上で正体を探るべく延々と繰り広げられる論争。しかし彼の所属する研究室はもちろん、大学、知人に至るまで、誰一人として真実を語る者はいない。いや、真実を知る者があまりにも少ないと言った方がふさわしいのか。
 
 
 井ノ原快彦とは・・・・・・・
 
 
 前日の話。
 共同開発者である坂本昌行は、記念すべき日を迎える準備に余念がなかった。
 開発の陣頭指揮を取る井ノ原快彦は、その薬を捧げたいたった一人の人と会っていた。
 長野博は井ノ原と会い、腸の煮えくり返るような感情をただひたすらにぶつけていた。
 前日の話。
 その薬の完成について最も重要なファクターが明らかになった。
 前日の話。
 大いなる犠牲の上に成り立つ明るい未来に、数多の感情が交錯していた。
 前日の話。
 無性に叫びたい衝動に駆られたのは彼一人ではないだろう。
 前日の話。
 てるてるぼうずが窓辺で揺れる。
 最後の夜を研究室に戻る夜道で堪能する。
 届かなかった願いに落胆する。
 
 
 井ノ原快彦とは・・・・・・・
 
 
 長野博という青年は、井ノ原にとってかけがえのない親友だった。年こそ若干の差があれど、そんなことは些細な事情で取るに足らないとあっさり捨ておけるほどに、濃密な時間を共有していたと断言できるほどの。
 それを罪だと責める資格が、誰にあろうか?
 単純なこと。会社で全く濡れ衣も甚だしいトラブルに巻き込まれ、すっかり心を痛めてしまった大切な人を救いたいと願っただけ。周囲が驚きの連続を繰り返すほどアグレッシブだった人格を奥底に閉じ込め、ただ生命が息づくことだけはかろうじてやめていない、まさに生ける屍と化してしまった人を連れ戻したいと。井ノ原は持てるすべての知識を駆使して、我が未来を滅ぼすことも厭わずに、
「これってカミサマへの冒涜かもしんないけどさ、俺が敬愛してんのは長野くんだから。」
一途な片恋にも似た友愛を貫く固い決意を胸に抱いていたのがそこにある真実。
 幸せだと笑っていてくれたらいい。
 それが最たる望みであることをカミサマでなく、あなたに許容してほしい。
 
 
 井ノ原快彦とは、己の望みを叶えるために傲慢で身を滅ぼした研究者。
 
 
 決してもの言わぬナマモノ。
 
 
 時間があまりにも少なすぎた。失いたくない人がいた。早くあの柔らかい笑顔を見たくて、早く掠れたような高い声で名前を呼んでほしくて、是が非でも連れ戻したくて、
 
 「これはね、強行手段なんだって分かってる。でも長野くんのためだから。」
 
 最終的に迫られた選択は、甲乙つけがたい2種類の薬。より素晴らしい効果を示すものを長野に与えたくて、井ノ原は自ら薬を服用するという究極の実験に踏み切った。踏み切った結果、深い眠りに囚われた。
 薬は坂本昌行により井ノ原の名前で発表され、根底に存在する傲慢な犠牲を知る人物はこの世界中で、たった二人しかいない。
 
 
 歓喜に打ち震えるほどの成果を。
 
 
 坂本昌行と名乗るD・N・Sの共同開発者が現れた。それだけでも十分に逆鱗に触れる出来事だったのに、坂本は何度も繰り返し長野の前に現れ、願ったのだ。井ノ原のたったひとつ、切なる願いをどうか聞き届けてやってほしいと伝えるために。
「アイツの涙を止める方法は、あと1000年探してもそれしかねぇんだよ。」
心から大切な人の、帰還。
 
 ありがとう。還ってきてくれて。
 
 小さな、そして大きな感謝の言葉を確かに聞いた。無機質な白い部屋のベッドの上で、井ノ原は笑っているという自信がある。
「バカ。礼を言うのは俺の方だ。」
いつかもう一度会うことが叶ったら、しっかりと目を合わせて言ってみせよう。
「お前の勝ちだよ。」
 世界中に浸蝕する希望を実感するために、さあ、早く。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[356]  [355]  [354]  [353]  [352]  [351]  [350]  [349]  [348]  [347]  [344
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
ごとう のりこ
性別:
非公開
職業:
妄想家
自己紹介:
無断転載、引用をすると、呪われます。
検索避けが掛かっております。
リンクの際には一言お声かけにご協力ください。
V6非恋愛小説サイト様でしたら、お気軽にリンクしていただいて構いません。むしろしていただけるなんて光栄の極みです。
感想、ご意見などをお寄せいただけると、管理人はニヤリとします。レスは必ずお返しいたします。
リンクの『ごいけんめやすばこ』にてお待ちいたしております。

感想、ご意見などを『ごいけんめやすばこ』に書くのは憚られる。という方は、お気軽にメールでお寄せいただけましたら、管理人は密かに嬉し涙しつつ、お返事させていただきます。リンクの『ゆうびんきょく』よりメールフォームがご利用いただけます。









    follow me on Twitter



    ブログ内検索
    カウンター
    最新コメント
    [01/25 管理人ごとう]
    [01/24 なな]
    [08/21 らん]
    [06/02 管理人ごとう]
    [05/29 あいあい]
    アクセス解析
    最新トラックバック
    忍者ブログ [PR]