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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/12/25 (Wed) 05:15:44

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No.348
2009/12/28 (Mon) 23:06:50

『Pretends,Chats,and ……Trust it built!』中編を更新です。

中途半端に一日空いてしまって残念な管理人でございます。
ええ、もう、正直に申し上げますね。

忘れておりました。すっきりと。

今日、仕事中に思い出しましてね、慌てましたよ。
そんなに後になって慌てたって何にもならないんですけど。

ということで、ちゃんと後編は明日に更新いたします。


出演 : V6














 


 どうせ客の来ない店だ。みんなしてレジの周りで缶コーヒー片手に暖を取る。三宅はその缶コーヒーをチョコレートにかけて、またもや意味不明な占い。しばらくチョコレートがコーヒーに溶け出す様子を見ていた三宅が、突然入り口に勢い良く視線を向けた。
「災いが、来ます。」
三宅のこの胡散臭い占いは、時々当たる。だから全員がその占い結果を真っ向から否定できずに、少し緊張した表情で入り口を見つめる。静寂。そして程なく、来客を告げるチャイムが鳴った。
 入ってきたのはとてもよく知った男。手を後ろで組んでいる。ゆっくりと入ってきて、レジにいる面々の前に立ち、一息ついて・・・猟銃を構えた。
「この銃、本物だから。その証拠。」
男は突然、壁に向かって発砲した。銃声が高らかに響いて、銃口からは煙。壁には銃弾がめり込んでいる。これ以上の脅迫はない。脅しでモデルガンをちらつかせる中途半端な強盗が駅向こうの高校の裏のコンビニに押し入ったという話を聞いたが、どうやらこの男はまた別口。本格派らしい。まだ、銃を構えたままだ。
「目的は何だ。」
「坂本さんっ!」
勇者の称号を持つ王子になりきっている坂本は、ある意味恐いものなし。毅然と男の前に立とうとするが、慌てた森田に止められてしまった。男は坂本に銃を向け、すぐに銃口を下ろすと、レジカウンターに腰掛けて言う。
「全員ここに集まれ。」
レジの前の少し広くなったスペースと銃で指され、全員がおずおずとそこに集まる。坂本は今にも突っかかりそうだが、森田が必死で抑えている。これ以上話をややこしくして、この強盗であろう男の機嫌を逆なでしたくない。
「おい、そこの男前!」
「はいっ!」
言われて、指差されたわけでもないのにすぐさま返事をする岡田。まぁ確かに、そうだが。
「お腹すいた。洋風幕の内弁当温めてよ。あと長ネギの味噌汁作って。」
「や・・・えーと・・」
岡田はさすがにすぐには分かりましたとは言えず、困惑している。すると井ノ原が売り場から弁当と味噌汁を持ち寄り、岡田に押し付けるように渡す。
「あの・・・」
「早く!」
「は、はい!」
岡田は店長代理の坂本の方をちらちらと見ながら、弁当をレンジに入れ、緊張しているのかおぼつかない手付きでインスタントの味噌汁を作る。手が小刻みに震えていて、必要以上に手間取っている様子。森田はハラハラしながら見ていて、今にも助け舟を出しそうな勢い。それを押さえるように、井ノ原がしっかりと森田の服の袖を引っ張っている。
「できましたっ!」
全員が思わず息をついた。たかが弁当を温め、インスタントの味噌汁に湯を入れるだけ。それだけの事にこんなに緊張するシチュエーションは、まぁないだろう。岡田はそれを男に渡す動作でさえ、ゼンマイ仕掛けのロボットのようだ。けれど何とか何事もなくそこまでをクリアし、よろけるようにみんなのそばに戻ってきた。
「大丈夫か?」
「はい。何とか持ちこたえました。」
「無理っぽかったら言ってよ。」
「ありがとうございます。」
「ホントのホントに大丈夫なんだろうな?」
「はい。」
森田と井ノ原が交互に聞くが、本当に大丈夫らしく、岡田は嬉しそうに笑っている。この状態がどこまで続くか、本当ならば強盗が入った時点でもう危ないだろうに。
「ちゃんと持ってんのか?」
「大丈夫ですって。」
「おい、お前ら!」
小声で話していた3人は、男の声にびくっと肩をすくめ、ゆっくりと振り返る。しかし男は怒った表情はしていない。機嫌よく弁当をほおばりながら、箸で店内を指す。
「みんなも何か好きなモン食べなよ。俺が帰ったあと警察が来ても、強盗の仕業にしたら公認でタダ食いできるんだから。」
唖然。まさかコンビニ強盗から、自分の責任にしてタダ食いしたらいい。と勧められるなんて。この言葉をどう理解すればいいのか。2つ返事で「じゃあいただきます。」とも言えず、みんなが困惑していた。が、たった一人、バカ正直にその言葉に賛同する人間がいた。背中から聞こえた「バリッ。」という袋を開ける音で、全員がぎょっとして振り返る。その視線の先には、平然とパンの袋を開ける三宅の姿。普段から謎の多いキャラだという認識はあったが、この行動にはさすがに慌てさせられた。
「三宅っ、お前・・・」
坂本がその行動を咎めようとするが、その横を素早くすり抜ける人影、強盗の男。
「ビーフシチューロール好きなの?俺もそれ好きなんだ。最近の新商品の中でも一番だ。でもその食べ方は全然ダメだね。やっぱり温めてから食べないと。」
コクコクと頷き、男に促されるままにレジの後ろのレンジにパンを温めに行く三宅。温かいカフェオレ缶をさらりと開け、美味そうに呷っている。強盗とあんなにも意気投合しているのに誰も何も言えるはずはなく、気まずい無言のあとに口を開いたのは意外にも、
「もういいじゃん、俺らも何か食べよ。」
笑顔の井ノ原。まっすぐに弁当のコーナーに向かう。
「じゃあ俺も食うか。」
あっさりとそれに続く坂本。
「森田さん、強盗の機嫌を損ねない方がええから、きっとみんな乗ってるだけですよ。」
「でもお前・・・」
「森田さんも食べていいんじゃないですか?さすがの強盗もビビるかもやし。」
岡田はさも楽しそうに言う。確かにそれはあるけれど、それは・・・・・森田が黙り込んでいると、全員が楽しそうに売り場を物色し始めていた。強盗の男が何を考えているのかは知らないが、こんなのんきな誘いを繰り出してくれる分には何の害もない。普通にコンビニで商品を楽しそうに選んでいるみなを見ながら、森田は手持ち無沙汰に手近な商品をいじってみる。店中に温めたパンや弁当の匂いが立ち込めていて、強盗の男もジュースやお菓子を開け始めた。普通に宴会モード。猟銃は抱えたままだが、このまま楽しくなってしまえば隙も簡単に出来るのではないだろうかと思う。もしもあの男に隙が出来たら。というときの状況を頭の中で巡らせていると、12歳の設定のくせにビール片手の坂本が肩を組んでくる。
「みんな完全にあの男に感化されているんだ。お前ももう少し力を抜いてもいいんじゃないのか?」
「ビールを飲みながら言うセリフですか。」
「あの強盗、どう思う?」
「どうもこうもないです。一体何が目的で来たんだか。金要求したりするのかなって思ったら、メシ食いだすし、健と好きなパンで意気投合するし。っていうか、ね。あの人ホントに強盗?どこからどう見ても長野さんじゃん。」
「大ボスの一つ手前のミニ大ボスクラスだな。もしかしたら、今は本性を隠してみんなを油断させているだけかもしれない。」
「や、だから長野さん。」
「何も明確な情報がない状態で、どんな判断ができるって言うんだ。今はとりあえず乗っておいて、慎重に敵の出方を見よう。な。」
「長野さんだし・・・・・」
「ってことで、ビールもう1本おかわりー。」
「うわ、サイテー・・・」
人の意見を制してまでいかにも信憑性のありそうな意見を言っていたかと思えば、坂本は上機嫌で早くも3本目突入のビールを取りに行く。酔いのせいで素が見え隠れしてはいるが、状況判断の仕方はゲームの中のキャラそのもの。毎回毎回、その成り切りぶりには感心さえする。森田はこのコンビニに来て長いが、森田が来た当時から、すでに坂本はこんなキャラだった。店長代理と名乗る坂本は、森田の面接をした日には至って普通の真面目そうな男で。ところが、初出勤した日にはすでにゲームを始めていたため、その主人公のキャラに入り込んでいた。こんな男が店長代理でこのコンビニは大丈夫なのか?そう思ったけれど・・・
「剛、もうすぐまた波乱が起こるってチョコレートが言ってる。」
ヨーグルトを食べながら隣りに来て、声を潜めて欠けたチョコレートを指差しながら三宅が言う。その欠けた部分に何か意味があるのだろう。
「どんな波乱か分かる?」
森田は同じように声を潜め、真剣に聞く。すると三宅はチョコレートを床に落とし、その欠け具合を見て、かなりたっぷり間を取って答えた。
「・・・・・・・結構驚かされるような、波乱でしょう。」
「そりゃ大変だ。」
曖昧。三宅が四六時中やっている意味不明のチョコレート占いは、その一言に尽きる。当たろうが当たらなかろうが、その答えはいつも曖昧なのだ。統計としては当たる事の方が多いが、それも曖昧な答えのため、ストライクゾーンが広いので自動的に真ん中、もしくはどこかしらの部分に掠っているという仕組み。だから誰もが聞かされたとして簡単に否定も出来ず、肯定も出来ず、もやもやする。森田は話半分くらいに思いながら、一応聞いてみた。
「具体的にとか、分かんの?」
すると、
「みんな混乱します。」
やっぱり。
「結局、油断は禁物って言う事なんだろ。そんなのさ、今あの男と一緒になって商品食ってる奴らに言えよ。」
「剛は何も食べないの?」
「食べねぇ。そういう気分じゃないし。」
「もったいないよ。萎れるじゃん。」
「こんなところで食ったりしたら、また話がややこしくなるっての。」
「そうかなぁ?俺らは何とも思わないんだけどなぁ。」
「お前らは、もうずっと見てきて知ってるからだろうが。」
「嗜好なんて人それぞれだと思うけど。」
「食わない。その時のあの男の反応を見て、楽しみたいだけなんじゃん?」
「あ、アイス食おっと。」
森田と話していたかと思うと、三宅はあっさりとアイスクリームのショーケースに引き寄せられて行ってしまった。おそらく、図星。この状況を少し楽しみ始めているのだろう。
 けれど森田は思う。こんな店員のいるコンビニに入ってきた強盗が、普通の、世間一般に認識されている強盗とは違ってよかったのかもしれないと。一筋縄でいかなくて、癇癪など起こされたら大惨事は免れない。ところが今ここにいる強盗はマイペースで一風変わっていて、これまでに頻繁に店長を訪ねてやって来た長野という名前の人物だと判明しており、今はみんなと楽しく飲んで食べて談笑している。大雪のクリスマスでお客さんもまったく来る気配がなく、不幸中の幸い。問題が起こっても、外部の人間は被害を被る事はない。
「熊だ!死んだフリしろ!」
和やかなムードに割り込むように上がる大声。井ノ原のいつもの奇声。長野の表情が一気に曇り猟銃を握る手に少し力が入った。
「だから何だ?」
ちょっとした宴会モードで楽しそうにしていたはずの長野が、井ノ原に向ける視線は冷徹。ゆっくりと井ノ原に向かって歩く。
「俺も馬鹿にされたモンだ。そんなんでどうこうできると思われてるとは。」
「や、違うんです。この人っ、ちょっと特殊っていうか、俺たちにもよく分かってないんですけどっ、時々「熊が出たっ!」って何の前触れもなく言うんです。それもいつ言い出すか分からないんですよ。」
森田が長野と井ノ原の間に入って、一生懸命に解説する。井ノ原がこのコンビニでは一番の古株。正確には採用したのは坂本なので二番手だが、どういう部分がきっかけになって採用に至ったかは不明。特技が笑顔な男という部分だけを紹介されていたので、みんな井ノ原のこの言葉を突然聞いたときには驚いたものだ。今となっては別にあえて取りざたすほどのものではないけれど、初めて居合わせた人間にはこういう反応も珍しくはない。しかも相手がコンビニ強盗ともなれば、神経を逆なでしてもおかしくないだろう。森田は真剣な目で長野を見つめる。防ぎようのなかった言葉だと分かってもらわなければならない。
「そういえばお前、何も食べてなかったよなぁ。俺に対する当て付け?」
「それはっ・・・それは、俺が・・・。」
「俺が?俺が何?」
続いて矛先を自分に向けられ、森田は口ごもる。
「剛、教えてあげな。」
口ごもったままどうすることも出来ないでいた森田に、ペチュニアの鉢植えが差し出される。三宅がバックヤードから持ってきてくれたらしい。
「いいじゃん。おかしくないって。全然余裕。」
「どう余裕なんだよ。だいたいこんな人間おかしいだろ。」
「だったら井ノ原さんも岡田も坂本さんもみんなおかしいもん。」
「おかしいのレベルが違う。俺のは・・・」
「大丈夫。こんだけ広い世界ね、そういう人もたまにはいるんだから。」
あまりにも自分の本性にコンプレックスを抱く森田に、井ノ原がフォローを入れる。それでも森田は動かない。思わず岡田が森田に歩み寄ろうとした瞬間、
「岡田っ!」
数回の咳と井ノ原の声。顔を上げた森田の目に映ったのは、真っ赤な手で口元を覆い屈みこむ岡田の姿。心配していた事が起こってしまった。
「岡田!薬どこ!薬出して!坂本さん、水!」
「はい!」
「どういうこと?何なんだ?」
突然の流血シーンに、強盗バージョンで登場していた長野も心配するような口調になる。井ノ原はユニフォームの袖で岡田の口元を拭いてやり、ポケットから岡田が出した薬を飲ませ、水を渡す。岡田はゆっくりと水で薬を飲み込み、笑う。
「すいません、ちょっと雪ではしゃぎすぎたみたいです。」
「血を吐いたって事は、ずっとガマンしてたってことなんじゃんか。なんでもっと早く言ってくれないかな。これが心臓の方だったらどうするつもりだったのさ!」
「心臓じゃなかったからいいじゃないですか。」
「いくない!」
「おい、彼は病気か?」
長野が森田に聞く。森田は心配そうに岡田に目を向けたまま、答えた。
「生まれつき心臓が弱いのと、喘息と、胃潰瘍と、気胸と、憩室症と、なんだっけ、サルコイドーシス?と、あー、まだ聞きたい?」
「べ、別にもういい。それよりも、よくそんな子を雇ってるな。」
「岡田が面接で、四六時中病気なってることが自慢だって言ったら坂本さんの心が揺れ動いて、美人薄命を実演するんで、ぜひ見てください。これで一発。」
「ふぅん。で、お前は?何だかさっき、ペチュニアがどうのこうの言ってたけど。」
「・・・・・。」
「こいつはねぇ、花ばっかり食べるんです。」
「ちょっ、健!」
「ご飯もおやつも全部花。面接に来たときはクソ真面目で、声は俺に似て高いけどインパクトがないって坂本さんは採用する気薄かったみたい。けど、たまたまコイツが夜、ひまわり食べながら歩いてるところに遭遇して即決。珍しモン好きだから、あの人。」
「じゃあこのペチュニアも・・・」
「お夜食。」
「・・・見たい。」
「え?」
「ペチュニアを食べてるところ、見せて。」
「いえ、あの・・・」
長野が森田にペチュニアの鉢を押し寄せた瞬間、
「来ます!」
大きな声でそう言って、それまで森田の境遇を軽くしゃべり立てていた三宅が急に立ち上がった。視線の方向は入り口ではない。しかし三宅の表情は真剣。新しいチョコレートを出し、床に叩きつける。
「この一連の出来事とは比べ物にならない出来事でしょう。」
言って、さらにもう一枚、新しいチョコレートを、今度は手で割り砕く。
「そして、終わります。」
いっさいの主語がなく、変わらず曖昧な占い結果。誰もが何も言えないでいる。三宅だけがただ一人、ぶつぶつと何やら呟いているのを除いて。
「お仲間内では、この行動の意味が分かるのか?」
長野が複雑そうな表情を浮かべて聞く。
「分かりません、残念ですけど。」
井ノ原がそう答えると、長野はため息交じりに森田に聞く。
「多分そうだとは思うけど、この男が何があってもずーっと笑ってるのも・・・」
「この人には笑顔以外の表情がないからです。」
「感情はあるんだろ?」
「ありますねぇ。でも笑顔なんで、非常に分かりにくいです。」
「そっか。」
長野は驚きもせず、もう慣れたといった感じで森田との会話を終了してしまった。
 
 約30分。沈黙は続いた。長野が商品である雑誌を黙々と読み耽り、みんなその様子見という形になってしまったからだ。それを打ち破ったのは、電話の音と、まるでそれに反応したかのようなあの声。
「熊だ!死んだフリしろ!」
「井ノ原さん、熊はこんな都会には来ねぇから。」
冷静につっこみ、森田は電話を取る。
「お電話ありがとうございます。エブリライフ反田西町店、森田です。」
油断。今日はいつもと違うという感覚が、静かな時間経過のせいで薄れていたのだろう。思わず条件反射でいつも通りに電話に出てしまった森田に突きつけられる銃口。電話の向こうでは話し声が聞こえるが、ゆっくりと受話器を置く。
「あのさ、気ぃ緩み過ぎなんじゃない?」
「す、すいませ・・・」
謝罪の言葉をかき消してしまうように、銃声。森田の髪を少し焦がしたのか、嫌なにおいがする。三宅の占いの言葉を思い返す。この一連の出来事とは比べ物にならない。そう、きっと長野が強盗として本気になったのだろう。
「よ、要求は何ですか?まさかお弁当って訳じゃないでしょ?」
「ああ。たかが弁当くらいで強盗はしない。」
「じゃあ・・・・」
「要求は、君たちの未来ってことで。」
「俺達に、恨みがあるってこと?」
笑顔で、しかしさすがに若干声の震えた井ノ原が聞きながら少し近づく。長野は冷静に井ノ原へと銃口を向け、満面の笑みで返した。
「俺はただ一風変わった狩りを楽しんでるだけ。それに、理由なんている?」
「人間を、狩る?へぇ、まるで神様気取り。」
「井ノ原さん、挑発したらダメですって。」
挑発的な態度に出た井ノ原に、森田は慌ててストップをかける。ところが、井ノ原はまるで森田の声など聞こえていないように、長野の顔しか見ようとしない。
「俺はコンビニをすごくたくさん見てきたけど、こんなユニークな店は初めてだ。実にもったいない。俺が狩りにさえ来てなかったら、これからもずっと、毎日おもしろおかしく暮らしていけたのに。」
「もう強盗が成功した気分?気、早すぎじゃない?」
「病気か何か知らないけど、その笑顔が目障りだな。」
「いのっちの笑顔に難癖着ける気か!」
「岡田!」
少し疲労を滲ませて掠れた声が、それでも気丈に割り込んだ。井ノ原は真っ先に岡田を危惧したが、珍しくも店長代理に相応しい顔付きで、坂本がわざと長野の足元に手にしていたビールの空き缶を放り出した。
「こんなチンケな男にいつまでも付き合っていられるほど、このコンビニは暇じゃない。外を見てみろ、雪が止んでる。今が朝の5時前。あと1時間もしたら、早起きのお客さんや恋人と楽しい夜を過ごした朝帰りのお客さんが来始める。昨日は雪で買い物に出られなかった人も多いはずだ。かなり混みあうだろうな。」
「でも店員がいなければ、店は機能はしない。残念。」
長野の目からは、もう怒りにも似た感情しか読み取れなかった。
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プロフィール
HN:
ごとう のりこ
性別:
非公開
職業:
妄想家
自己紹介:
無断転載、引用をすると、呪われます。
検索避けが掛かっております。
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V6非恋愛小説サイト様でしたら、お気軽にリンクしていただいて構いません。むしろしていただけるなんて光栄の極みです。
感想、ご意見などをお寄せいただけると、管理人はニヤリとします。レスは必ずお返しいたします。
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