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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/24 (Wed) 12:54:37

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No.355
2010/02/11 (Thu) 21:32:33

中編第3話を更新です。

Vシュラ!
お茶目ですねー、東山紀之氏。
あのフリーダムキング健つんのペースを乱すとは、さすがです。

はい。そうです。
やっと今日になって観ました。
このデリバリはおいしかったです。


出演 : V6














 


 じゃあ、前言撤回。
 

 
 
 現場で会った第一声が「なぁ、最近長野に会った?」はどうなのよ?「おはよう。」はどこに置き忘れてきちゃったんですか?リーダー。挨拶は人として基本中の基本だ。ってカミセンに口を酸っぱくして言い続けてたのはどこの誰でしたっけ?気持ちは分かる。あまりに様子が変わりすぎて心配で仕方ないんでしょ。けど、ねぇ、さすがの俺でもあきれちゃいますよ。本人にいいだけ探りを入れて、結局はダメだったから次のステップで俺にお鉢が回ってきたわけだ。でも残念でした。会っておりません。昨日はロマンで忙しかったもので。という返答をすれば、坂本くんは激しくガッカリしてくれた。え?早くも100%の他力本願でした?という言葉は深く閉じ込めてギアチェンジ。これからロケに出向くわけだからね。元気付けてあげないと。長野くんはそのうち、何もなかったみたいに本当に普通に戻ってくるよ。というフォローも忘れずに。って、移動だけで疲れ切りそう。
 
 ありとあらゆるトークを駆使して、なんとか坂本くんの回復に成功した。のに、ただ今、ロケは中断と相成っております。なんと軽トラ撤去待ち。ロケ現場に到着してみれば、そこには黒山の人だかり。公開ロケじゃなかったよね?だったら・・・・・とはあまりに自意識過剰でした。陳謝撤回いたします。人だかりの注目する先は地元在住のお母さん。筋金入りのペーパードライバーなのに突如思い立って、車を運転してお出かけしたい衝動に駆られたらしい。自宅にある軽トラにて颯爽と走り出したはよかったが、なにせ免許取得後、車の運転は2回目。偶然のドンピシャにて、ロケをさせていただく予定だった農家のビニールハウスに正面切って突っ込んだという結末。そして現在、地元男性陣の皆さん、ロケ参加スタッフ、坂本くん、俺が総力を結集しての、思いの外重量級だったビニールハウスの崩落に阻まれて脱出のままならないお母さん救出大作戦を敢行中。V6をご存じないお年を召した男の方に、「お兄さんたち通りすがりなのに悪いねぇ。」なんて言われながら、まぁ、こういう場面で芸能人もへったくれもないんだけど、思わず坂本くんと顔を見合わせて苦笑を浮かべちゃったりしつつ、真冬だというのに汗だくな作業は続いた。
 
 参加から1時間40分。お母さんの救出に成功。変に背中を丸めて運転席から微動だにしなかったから、大怪我してるんじゃないか?と心配してたのに、蓋を開けてみてポカン。なんと、同乗していた愛猫をかばうのに必死だった様子。まだ小さいけどぽっちゃりした・・・黒ねこ。ああ、オチはそこ?やっと広い場所に出られてすっきりしたのか、大きく伸びをしてお母さんの腕の中から元気に飛び出していった。走り去る際、地味に坂本くんの足を踏んでいったのもまた微妙。俺、猫相手でもこんなかよ。と、情けなく眉を下げた坂本くんを見て前言撤回。はっきりと言ってみた。そこまで気にかけるなら、本人と腹を割って話せばいいことじゃん。そうすればあるいは、思わぬ底力が発動して長野くんを連れ戻せるかもしんないし。あ、これって俺の方が他力本願?でもさ、明るい先行きがあるならさ、賭けてみたっていいと思う。賭けてみさせてよって、願う。
 
 だって俺の声、長野くんにとって大した影響力がなさそうだから。
 
 
 

 
 
 ユニゾン
 
 
 
 双子。とかファンの皆様に形容されちゃってる2人組は、秋から年末にかけて舞台で共演することが決まったようでテンション急上昇中。『アマデウス』の舞台版をやるらしい。難しっ!だったら4人そろって観に行かなきゃだね。と言ったのが長野くんで、楽屋には北極圏クラスの凍てつく沈黙が生まれた。だってそういうウザがられ発言をするのは、俺の担当っていうのが定番。明らかなキャラ激変。みんなのそんな違和感を露わにした視線もどこ吹く風、2人はどの役をやるんだろう?とかセットとか衣装とかすごそうだね。オケピもあるかも。とか、遠足を待ち焦がれる小学生みたくなってる。坂本くんと目が合った。激しく小刻みに左右に首を振られた。パスかよ!困惑の色を濃くしたユニゾンが響いた。「長野くん、おかしくね?」ときれいにハモる質の違う高音。さすが双子。いや、そんな場合じゃなくて。大事なネジがいくつか外れちゃったんじゃないの?とかいう心配が押し寄せてきそうな勢い。何がどう作用すればここまで・・・・・・・まぁ、言わずもがなだよね。猫ですよ、ズバリ。あの猫が来てから、大きな声で笑うことが増えたもん。坂本くんがビックリして目をまんまるにしてても、岡田が眉間に深すぎるくらい皺を寄せてても気付かないで。長野くんはメンバーの変調を見落とすほど迂闊なタイプじゃない。むしろ敏感すぎる人。「こんなの違う。」と零した健に、剛が同意した。正気じゃない長野くんは、その声さえ拾わなかった。
 
 「で?」という強力なユニゾンの問いかけが襲来。スタジオ内の溜まりで俺が一人になったタイミングに、上手く滑りこんできた2人分の険しい視線と空気。たったひと言で十二分に伝わりました。長野くんのアレがどういうことなのか説明しろ。っていうね。猫です。15年分の関係性を、つい最近登場した黒ねこがあっさり掻っ攫っていっちゃったんです。とは、なんでだろう、言うことを躊躇われる。言っちゃったらおしまい。もっと深みにハマる。最悪の展開へご招待チケットが突きつけられてしまう。そう思えてならなくて、日がな口から生まれたみたくマシンガントークを欠かさない俺が、黙って俯くことしかできなかった。今も昔も長野くんだいすきー。な俺に聞けば、分かる事情も多いはず。って踏んでくれたんだろうに、ホント申し訳ない。失いたくないって恐怖感に苛まれてる自分なんか、ガラクタに過ぎない。だから、潔く白旗を上げるから、これ以上は突っ込まないで。お願いします。今回は見逃してください。数々の弱っちい逃げ口上を心の中で並べ立てる俺に2人は、気付いた?ものすごく優しい手のひらが2つ、ふんわりと頭をなでる。泣きそうだ。全部ひっくるめた上で泣きそうだ。ああ、いっそ泣いたら長野くんは、さすがに俺っていう存在に目を向けてくれるかな。
 
 程なくしてスタッフの呼び声が割り込み、しっかりユニゾンを維持した返事と共に、2つのぬくもりはなくなった。嬉しさが2倍だと当たり前なんだけど寂しさも2倍。もう少しそばで感じていたかったとか、甘え過ぎかな。最近の俺は酷くネガティブで、あんなコトを思う時間が多くなったせいかもしれない。例えこの目で姿をとらえていても、それが幻で今にも消えてしまうんじゃないかと考える。声には出さないように極力気を付けてはいるけど、そのタブーが破られる日は近いような、予感は日に日に強くなってくる一方。
 
 その瞬間は、きっと目前に迫ってるんだろうね。だって嫌な予感ほど、よく当たるから。
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