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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/28 (Sun) 21:10:55

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No.347
2009/12/26 (Sat) 22:44:00

短編を更新です。
『HONEY×3』内でのSP企画『ト二ハニーを探せ』達成ページ掲載作品に加筆修正をいたしました。
前編・中編・後編のまずは前編です。

Mステ。珍しく(←失礼)うまくいってましたねー。
ベストヒットが凄かっただけに、安心もひときわでした。
ツートップはどうしてあんなにも楽しそうだったんでしょうね(笑)


出演 : V6














 


 Pretends,Chats,and ……Trust it built!

 
 
 
 
 
 今までのあまりにも不似合いな穏やかな雰囲気は、ただのくだらない茶番だった。そう言い捨てるような、銃声。店内の空気がビリビリと震動し、空調さえも無視した悪寒をみなに齎した。
「井ノ原さん!」
森田が叫び、銃声とともにつんのめるように尻餅をついた井ノ原に駆け寄る。
「へへ、大丈夫、大丈夫。」
その言葉の通り、どうやら無傷ではあるようだ。真後ろの壁にめり込んだ銃弾が、嫌な臭いを漂わせているだけ。井ノ原は笑顔でゆったりと立ち上がり、猟銃をなおも引き金にスタンバイされた指の力を緩めることなく構えている男に向かって歩き始める。
「やめろって!」
思わず腕を強く引っ張り、止める森田。振り返った表情は、やはり笑顔の井ノ原。こんな時にまで笑顔を見せられると、本気で止めている自分の気持ちが萎えそうになる。井ノ原はこういう人間なのだと分かっていても。
「誰かが止めなきゃダメじゃん。みんなで来る保証のない助けを待ってても、意味ないし。」
「だからって、なんで勝手に自分が行くって決定するんですか。」
「え、だって一番先輩だから。」
「だったら俺が行く。」
この混乱の中、じっと手の中で割れたチョコレートを見つめていた三宅が立ち上がる。チョコレートを床に投げ捨て、ポケットから新しいチョコレートを出し、それを井ノ原に手渡した。まだ新品のビニールさえ破いていないチョコレートを人に渡すなんて行動、お目にかかったことがない。井ノ原は笑顔の中に戸惑いを見せる。
「正式な採用は井ノ原さんの方が先でも、俺は1ヶ月だけ早くここに来てましたから。」
「俺の方が年上だよ。」
「アンタさ、こんなときまで笑わないでよ。」
「恐くて、顔引きつってるよりはずっといいでしょ?」
「待ってください。」
囮役を奪い合う2人を押し留めるように、盛大な溜息を携えて挙手しながら岡田が割って入った。
「どっちが行くとかやないでしょう。あの男の持ってる猟銃は本物で、単なる脅しやなくて、撃ってくるって分かったんですよ。」
「さっきも言ったけど、誰かが止めなきゃ仕方ないワケ。猟銃は連射は出来ない。次にアイツが撃った瞬間に、みんなで何とかしてよ。」
「だからなんで・・・」
「俺が行く。俺の仲間は俺が守る。」
「坂本さんまで!」
「ここで逃げたら、真の勇者にはなれない。一番近くにいる仲間も救えない人間に、この世界が救えるはずなんてないからな。」
坂本は半ば口論に似た遣り取りをしていた4人と男の間に立ち、両手を前に出して何かぼぞぼぞと呟いている。慌てて坂本を引き戻す森田。心構えは立派だが・・・
「無理です。」
「やってみなければ分からないだろう!何もせずに諦めろと言うのか。」
「やらなくても分かってますから。」
「仲間を見捨てろと言うのか!」
「うるさいっ!」
ごたごたしたやり取りを見ていた男が、苛立った様子で天井に向けて発砲し、大声で割って入る。全員の動きが止まり、空気が張りつめる。すると素早く井ノ原が矢面に立ち、やはり笑顔で犯人を見つめた。森田と三宅が引き戻そうとしたが、銃を交互に向けられて躊躇してしまう。それでも井ノ原の隣りに並び、坂本は男をにらみつける。危なっかしくて見ていられない。坂本は今、坂本ではないし、井ノ原はその大きなリスクを隠しようがない状態。にも関わらず、2人はゆっくりと男との距離を詰めていく。
「この状況で向かってくるなんて、いい度胸してるじゃないか。じゃあその度胸がもっと映えるように演出してやる!」
男の叫び声と重なる銃声。そこにもう一つ重なったのは・・・
「やったら俺が撃たれますっ!」
銃弾を食らって倒れたのは・・・岡田。左の脇腹を押さえ、崩れるように倒れこむ。
「岡田ぁっ!」
森田の悲痛な叫び声が響き渡る。井ノ原は慌てて岡田を抱き起こした。岡田は虚ろな表情で、けれど笑い、みなの顔をぐるっと目で追って、安堵の息をつく。
「みんな無事で、よかったです。」
その細い声に、坂本は男に真っ向から向き合った。
「お前、よくも俺の仲間を撃って・・・」
「岡田ぁっ!」
周囲に気を取られている余裕などないはずの坂本でさえ、その岡田の名前を呼ぶ声に振り返った。声の主は井ノ原で、全員が驚いた表情を隠せないでいる。しかし井ノ原はそんな表情には見向きもせず、ぎゅっと岡田を抱き寄せ、だらんと垂れた方の手を握り締める。
「岡田っ、岡田っ、なんでっ・・・なんでお前が撃たれてんだよ。」
「いのっち・・・・なんや・・・やっぱり泣いたりも・・・・するんやなぁ。」
「俺の事なんかどうでもいい!」
「ええこと・・・ないよ。なんか・・・なんか、嬉し・・もん・・」
「嬉しいとかっ・・・」
「ごっつ・・嬉し・・・みんなも、無事で・・・いのっち、も・・・・」
「あー、もう!分かったから、とにかくそれ以上しゃべんな!みんなボサーっと見てないで、救急車呼ぶとかしてくんない!?」
「お、ああ、分かった。」
井ノ原のあまりの強い口調に、電話を取りに森田がレジへ走ろうとする。瞬間、銃声がそれを遮った。森田は思わず足を止め、ゆっくりと男が立っているであろう方に目をやる。男は怒りに満ちた表情で銃を構え、いつでも次を撃つ勢い。
「俺を無視して、感動のシーンを熱演?」
「感動?この状況のどこを見て感動って言えんだ!大体お前が・・・」
「アカン、よ。危ないから・・アカンよ・・・いの、ち・・・」
「お前が岡田を撃ったから、こんなに慌ててるんだ!」
「井ノ原さん、やめろよ!」
「剛は黙ってろ。」
「俺が言ってるんじゃねぇ。岡田の声だよ!」
「だってコイツは岡田を撃ったんだぞ!」
「いい・・みんなが無事・・・やったら・・・それで、ええ・・から。」
岡田の言葉に、井ノ原は黙ってしまう。けれど男は構えた銃を降ろさない。
「感動の名場面は終わった?だったら、ここからはショータイムだ。」
「森田、下がれ!」
「いのっち・・・伏せて・・」
「坂本さん、前に出るな!」
「井ノ原さん、ダメだって!」
「井ノ原!」
「まずは一番前のお前からだ!」
「やめろっ!」
「いのっちっ!」
「井ノ原!」
「撃てるもんなら撃ってみろ!」
「言われなくても撃ってやるよ!」
「井ノ原さんっ!」
「大好きな仲間は、守らないとだからさ。」
銃声と、森田の叫び声と、井ノ原の笑顔。それは悔しいかなぴったりと重なり・・・・・
「メリークリスマス庶民の皆さん。永遠に醒めない素敵な夢を。」
 
 
 
 地球の奇行、ここ数年の冬を総動員しても該当する記録はない。と言えるだろう大雪の日。駅から少し離れたコンビニエンスストア「エブリライフ」では、来ないお客のための店番の人間が暇を持て余していた。昼過ぎから降り始めた雪はとどまるところを知らず、しかも恋人たちの祭典クリスマスとあって、客足を完全に遠ざけてしまっている。24時間営業というシステム上店を閉めるわけにも行かず、一応開けてみてはいるわけだが。昼頃に来た学生の集団を最後に、現在午後11時前、来客数ゼロ記録を着々と更新中。みんなすっかりバックヤードに引っ込んで、自分なりの時間を過ごしていた。
 ゲームの音とラジカセの音とケータイのボタンを押す音が入り乱れる中、奇妙な言葉の羅列を延々と唱える声が不協和音を作り出している。みんな慣れたもので何も言わないが、ここには若干1名、慣れているけれど慣れていない者がいた。
「何なんだ、その鬱陶しい呟きは!こっちまで辛気臭くなるだろう!」
派手に机を叩いて怒鳴ったのは坂本、この店の店長代理。
「まぁまぁ王子、彼はこれからの戦いのために、呪術の精進をしてるんですから。素晴らしい事じゃないですか。」
「・・・・・・。」
「みんな王子の力になりたくて必死なんですよ。ね。」
「・・・分かった。」
この滑稽としか言いようのない会話。ここでは至極当たり前の日常会話だ。誰も驚かないし、疑問を抱いたり、つっこむ事もない。
「王子さまは雪で客足が途絶えた上にクリスマスを楽しく過ごす相手もいないからご機嫌斜め、と。」
「井ノ原さん、笑顔で冷静に解説しない。」
「すごく近い将来、王子に最大の試練が訪れるでしょう。」
「健、無責任なチョコレート占いしてんなよ。」
つっこむ人間は一応いる。
「森田は俺が嫌いなのか?」
坂本の問いに、森田はとびきりの穏やかな笑顔で即答。
「嫌いな人間とは口は聞きません。」
「そうか。」
ご満悦の表情で応えて、坂本は再びゲームの世界に没頭。三宅はチョコレート占いと意味不明の呪文を続行。井ノ原は発注の手を止めて笑顔でそれらを見つめる。森田は売り場から拝借した雑誌をパラパラ。これがこの店での、至極当たり前の・・・
「熊だ!死んだフリしろ!」
「井ノ原さん、熊はこんな都会には来ねぇから。」
発注用の端末をいじっていたはずが、突然そう叫んだ井ノ原に、また冷静につっこむ森田。それに対して何もコメントはなく、さらに発注は続く。これで、今いる人間全員。これこそが、至極当たり前のこのコンビニでの日常。雪さえ降らなければ、エリアでもトップクラスの売り上げをキープし続ける、優秀な店の実態。
 午前12時過ぎ、客の来店を知らせるチャイムが鳴る。全員の視線が防犯カメラの映像に引き寄せられるが、そこに写ったのは見慣れた男の姿。客ではない。男は寒そうに身を縮めながら店の奥に向かって小走りで直行、画面から見切れる。そしてバックヤードのドアが開き、
「めっさ寒いっすわー!なんですのん、ホンマに。」
頭に雪を積もらせたまま、岡田はいつもの自分の席、バックヤードの一番奥に座る。ばさばさと雪を払いながら、さっそく鏡の前で髪形をチェック。森田に後ろからはたかれた。
「いたっ!」
「こんなところで雪を払うな!」
「ああ、すんません。っていうか、なんでこんな日に大集合なんすか。」
「お前こそなんでこんな時間に戻って来てんの。店は?クリスマスはかき入れ時って言ってなかったっけ?」
「休業ですよ。こんな大雪の日にお客さんなんて来ませんからね。」
「やはり岡田も、仲間と一緒が一番なのだ。」
坂本の言葉に、岡田はいぶかしげな顔をし、小声で森田に聞く。
「今度は何のゲームですか?」
「ラストディスタンスオブアーク。」
「それって、あんな偉そうな口調の主人公なんすか?」
「そう。昨日からさっきまで家でやってたらしいんだけど、お前が上がったすぐ後に急にここに来てやり始めた。このゲームは、アスカ王朝の第一王子であるリスタってのが主人公。他に呪術師、流れの騎士、忍者、僧侶、体術家、スナイパーが主なパーティー。始めは王家の人間であることでお高く止まっている王子が、旅が進むとともに友情や、誰かを守るということに目覚めていき、最後には世界を守る勇者となる。リバーシブルアークの続編、15年後の世界の設定ってとこかな。」
「へぇー。で、森田さんは何でここに?」
「ヒマだから。健は夜勤だから。井ノ原さんは雪の中を帰るのがイヤだから。」
「ヒマなわりには、ここにいるんですね。」
「はぁ?」
岡田のこれまでのやり取りを無視したような無理問答ちっくな返答に、森田は「イーっ」となりそうな感情を必死に押さえ込んで聞き返す。
「お前は今までの話は全部無視か?ヒマだから・・・」
「ヒマなんでしょ?やったら雪も積もってる事ですし、遊びましょうよ。」
「たくさん積もってるのか!」
その言葉に一番に食いついたのは坂本。飛び付く勢いで岡田の手をしっかりと握り、目はキラキラしている。逆に岡田が戸惑い、森田に助けを求める視線を投げている。
「分かりました。王子とみんなで雪遊びしましょう。決定!」
「よし!俺が一番乗りだ!」
森田の言葉きっかけで、坂本は上着も着ずに外へ飛び出して行ってしまった。井ノ原は坂本の上着を持って、何の疑問も抱かずに着いて行く。チョコレートをずらりと並べてぶつぶつ言っている三宅も、森田に強引に上着を渡されて外に行けと促され、仕方なく外へ出る。
「王子って、何歳の設定なんですか?」
「・・・12歳。」
「12歳ですかぁ・・・」
意外に子供な一面を見せた坂本の成りきっている王子の年を聞いて、納得したように微笑ましいという笑顔を浮かべ、岡田も森田と外へ出て行った。
 東京限定でなく日本規模で非常に珍しい。いや、これはもう異常気象に分類されるのかもしれない。ここは大都会と称される東京だというのに、外は膝下までうずもれてしまうくらいの積雪。坂本と岡田は大はしゃぎで、さっそく雪だるまを作る作業に勤しんでいる。三宅はクリーナーペーパーを外したダスターモップを持ってきて、入り口の前の雪を几帳面にどけ始めた。
「剛っ、剛っ、寒い。」
井ノ原は笑顔で言ってはいるが、何でこんなときに外で遊ばなければならないのか。と非難しているのだろう。ちらちらと店内に視線を送る仕草。三宅はぱたりとモップを足元に置き、おもむろにチョコレートを出すと手でざっくりと割りながら雪の中に落とす。落ちたチョコレートをじっと見つめて、さっきと同じような言葉。
「最大の試練が、今着実にこのコンビニに近づいています。」
森田は未だ雪を落とすことをやめない空を見上げ、手を差し伸べる。かじかんでいる手に雪はどこか暖かく、恋人たちのクリスマスだけに?とあべこべな理屈を浮かべていた。
「剛、俺ギブアップな。」
「えー、もう?王子怒りますよ。」
「知らなーい。お前の話術で宥めといて。」
笑顔で森田の制止を交わして店の中に入った井ノ原は、やはり笑顔のままでガラス越しに森田に向かって手を振っている。坂本は岡田と雪だるまを作る事に夢中なので、駄々をこねることもないだろう。やれやれとその場にかがむと、いつもの顔がやって来た。
「ねぇ、店長いる?」
「いませんよ。」
「じゃあまた来るね。」
「はい。」
たったそれだけ。短い、愛想もへったくれもない会話で去っていく男。誰もその素性を知らない、長野という名前だけが分かっている。何日かおきにここに来て、毎回同じ問い。「店長いる?」。一番長くいる坂本でも知らないという、長野。そして同じく店長。代理を任されているのだから、一度くらいは面識があるはずだと坂本に聞いてみても、知らないの一点張り。別に特に疑問を抱いて調べ上げようとも思わないけれど。だいたいこのコンビニは変わり者の巣窟。一人や二人それが増えたところで、大して差し障りはない。日々売り上げは安定しているし、みんな元気だ。
「森田ぁ!寒い!もうやめる!」
「はいはい!」
坂本のやめる宣言で、早くも雪遊びはお開き。作りかけもはなはだしい歪な雪だるまを残して、全員がぞろぞろと店の中へ引っ込んだ。
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HN:
ごとう のりこ
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非公開
職業:
妄想家
自己紹介:
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