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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/19 (Fri) 23:02:29

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No.350
2009/12/30 (Wed) 23:30:35

『ツートップFestival in V6』参加作品をアップです。

遅い!

この作品はですね、加筆と修正の日々でした。
ツートップメインって難しい!
普段は書かないものなだけに、脳みそフル稼働で取り組みました。

結果、
ツートップメインですか?
というつっこみは飲み込んで頂けると幸いです(←ダメ人間)


出演 : V6

























 


彼らの好きな彼ら

 


 
 
 
 
 舞台の再演を控えて、坂本くんがすごくナーバスになってる。なんて話をしてる健と岡田を見てる第三者的スタンスの剛の表情が、明らかに強張っていた。確かに再演って結構大変だと思う。初演を観たお客さんがもう一度足を運んでくれて、尚且つ、また観に来てよかった。って感じてくれるものにしなくちゃいけないんだからね。けど、あんなのは違うから。本気でナーバスになった坂本くんはあんなモンじゃない。ノイローゼなんじゃないか?とか勘繰っちゃうほど酷いんだ。俺はあの時の状況をちゃんと知ってるから、ほら、さ、なんつーかもう、ね、未然に防ぎきれなかった自分に罪悪感?みたいなの、ひしひし感じられちゃうんだって。とかってモノサシで測るなら、これは違うパターン。だってさ、自分の中では理解してるよ。ただ、可愛い弟分たちは違うらしい。そのうち分かると言いたいところなのは山々でありつつ、来年には俺たち15周年とか迎えちゃうの。本当はそのときに、ちゃんと6人がそろってるときにマジモードで話すつもりでいたんだけど、限界かな。このままじゃあ済し崩し的にばれるかもしくは、剛が一人で抱え込むなとかって坂本くんにキレそうだし。
「なぁ、坂本くんの秘密の話、してやろうか。」
チョー緊張感、高まっちゃったかな。健と岡田はただ純粋に興味深々って雰囲気だけど、剛の表情が気まずそうに歪んだのを、見逃してないよ、俺は。
「スゲー昔にさ、岡田がバク宙失敗して骨折したことあったじゃん?」
今ならもう、アンタを支える手がこんなにもたくさんあるんだ。
 
 
 
 アクロバティックなダンスが俺たちのウリで、多少の危険だったらスルーの方向。みたいな雰囲気が当たり前に蔓延してた。十代で体力も運動神経も有り余ってたカミセンには、自ずとそういう動きが要求されてたんだと思う。デビュー当時はV6の看板だから、特に目立たせなきゃって意向もあっただろうし。
 坂本くんはカミセンの3人とうまく打ち解けられないでいたけど、リーダーとしての責任はしっかり持ってた。長野くんがいつもそばにいて、頑丈に脇を固めてくれていたから俺はあっさりと油断したんだ。あの人に、あの2人に大人の事情については任せておけば大丈夫だから、自分はカミセンと一日でも早く打ち解けようと思った。だって坂本くんがあまりにつっけんどんな態度だから剛と健は反発するし、岡田は委縮するし。俺の使命は3人が伸び伸びと個性を伸ばして楽しく元気に頑張っていける環境を作ることと、坂本くんはすごくいい人なんだって伝えること。それを一番の目標に。
 楽屋に入ってすぐに廊下に出た。マネージャーを探して捕まえる。無理を言ってもう一部屋用意してもらえるように、必死で頼み込んだ。絶対に、自分たちの楽屋には誰も、カミセンであっても近づけないで欲しいと。ここ5カ月ちょっとの慌しさは尋常じゃなかった。その中で俺は坂本くんに託されたことを完遂した。他のことは坂本くんに任せておけば、長野くんもいるし大丈夫だと、そうだ、見て見ぬふりで安全地帯に逃避してたんだ。岡田が音楽番組の収録中にバク宙を失敗して骨折した。周囲は騒然となり、ワイドショーも結構大々的に取り上げていたと思う。全治3カ月。その穴をどうにかして埋めないといけない。カミセンの仕事に関しては、当然ながら剛と健が。若さゆえか血気盛んで無鉄砲になりがちな2人を、助けてやってくれと真摯な口調で切り出した坂本くん。衝突ばかりしてても、ちゃんとメンバーのことを想ってるんだって、すごくうれしい気持ちになって2つ返事で引き受けた。一番大変なのは、きっと剛と健なんだからと勝手に決め込んで。
 リーダーの重責と毎日葛藤していたのはよく知ってた。ちゃんとやらなきゃ。そんな気持ちがなんとなく前のめりにさせてることも。なのに俺は後悔したんだ。手遅れを目の当たりにして、ものすごく後悔した。岡田は14歳で親元を離れてる。合宿所に住んでるといっても独り暮らしには違いない。坂本くんは岡田を、もちろん剛と健も人様から預かった大切な子って認識してた。その子に怪我をさせてしまったことを気に病んで、いっぱいいっぱいになってしまってたって、よりにもよって俺は、長野くんに言われるまで全く気付かないでいた。誰よりも甘えていたのは、俺だったんだと今さら、
「ねぇ長野くん、俺さ、今と同じ表情の坂本くんを前にも見たことがあるんだよ。」
「井ノ原、違う・・・」
「事務所を辞めるって言ったとき、俺は行かないでって、逃げるのかって言った。そのときと、おんなじカオしてる。俺たちはまた、坂本くんを失うのかなぁ。」
 
 長野くんにひっぱたかれた。
 
 歌もダンスもとびきり上手な坂本くんは出会った頃から今でもずっと、俺の憧れだ。そして長野くんと一緒にいるときに2人して醸し出す空気感は、俺の癒しだ。坂本くんが事務所を辞めてしまった時、ああ、長野くんもきっと辞めるんだろうなぁ。って予感はあった。2人で1人の人たちが同じ道を歩まないわけがない。だから、俺は坂本くんがすっかりテンパってる様子を見て、過去を重ねて恐怖した。また2人を失う。悪夢の繰り返しだと。悪夢?そうじゃない。自分は厚かましくも、あの2人を勝手に理想の姿に仕立て上げて妄想で縛っているに過ぎない。こんなにも身勝手だから、そのツケがとうとう回ってくる。
「ごめん。もっともっといっぱいがんばるからさ、俺。だから・・・・・」
「昨日の午後、坂本くんと2人で岡田の実家に行ってきた。」
「え?」
「坂本くんがどうしても、岡田のご両親に直接謝罪がしたいって言うから。そしたらさ、俺たちっていい年した大人だろ?なのに逆に岡田の両親に慰められちゃったよ。息子がケガをしたのは本人の不注意なんだから、何も気にすることはない。って。それでね、未熟な息子ですがこれからもよろしくお願いします。だって。」
「で?坂本くんは?」
「もう清々しいほどに号泣して、少し救われた気がするってさ。けど、まだ悩んでる。きっとこれからも多少の危険が伴う動きがダンスに取り入れられることが分かってるから、それをおいそれと受け入れてまたいつか、あいつらに怪我させるかもしれないってね。」
岡田の親御さんの言う通りだ。今回の怪我は岡田に責任があったとしても坂本くんには責任はない。たぶん。リーダーだからって何でもかんでも管理できるわけじゃない。長野くんも俺も、そういうのが坂本くんの役目だなんて微塵も思ってないし。
「俺には何が、できるんだろう。」
坂本くんのために、
「よっちゃんはよっちゃんでいればいい。」
それは坂本くんのために?
「元気で、前向きで、笑っていてくれたらいいんだ。」
坂本くんの中に渦巻く紀憂を少しでも取り除くために俺は、ただがむしゃらに強く、
「そういうのは俺がやっても効果がないから、井ノ原にとっては負担だろうけど協力してもらえるといいと思う。」
そうじゃなくて、俺は坂本くんだけじゃなくて長野くんのことも、
「ごめん、俺もっと頑張るからさ。」
俺にできることのすべてを、
「ごめんな、井ノ原。」
すべてをかけて救いたいと願うのは、
「長野くんは?」
「俺は・・・・・」
「2人のために何ができるか、教えてよ。3人でトニセンじゃん。俺はっ、坂本くんはもちろんだけど、長野くんだって幸せだ、毎日楽しいな。って笑ってなきゃヤダ。」
「・・・・・宿題にしてもいい?」
「え、うん。」
今答えてくれなければいやだとは、言えなかった。
 
 だって長野くんの表情は変わらずずっと、希うような笑顔だったから。
 
 
 
 答え、聞いてないな。でも聞きたいと思わないのは、きっとあの頃より俺たちが進化したせいな気がする。坂本くんはすっかり肩の力を抜いちゃったし、長野くんは自分が進む道を自分優位に選択するようになった。カミセンは自分たちのコンサートの構成を3人で組み立てられるほど大人になって、そう、みんな怪我とはずいぶんご無沙汰。ミュージカルがライフワークみたくなりつつある。大好きなことを続けられるなんて嬉しくて仕方ないオーラがダダ漏れ。テンパってない。楽しんでる。坂本くんは毎日をすごく楽しんでる。今のアレは心地よい緊張感の一端。その礎を築いたのは紛れもない、長野くん。
「で、今は?」
「んふふ。今なんて聞かなくったって分かるでしょ?」
物語は明るい軌跡を辿った。
「じゃあアレ、心配するほどのことじゃないんだ。人騒がせな素振りするなっつーの。」
そんな言い草がまかり通るのも、
「剛くんと健くんと井ノ原くんと俺で、ごはん食べに行こう?」
こんな誘い文句が飛び出すのも、
「俺も?いっしょ?」
なぜか懐に入れてもらえるのも、
「あの2人の間にアンタが割って入ったら、スゲー邪魔になりそうじゃん。」
言い得て妙だ。邪魔者扱いされるのはちょっと悲しいけど、あの2人にはあの2人だけに流れる独特の時間がある。それに、
「むかしさぁ、言ったことあんだぜ。俺、2人が一緒にいるのを見るのが好きなんだーって。今もそうだけどね。」
今はあと3人ばかり、同じ意見の人間がいるんだけど。
 
あなたたちを敬愛する視線を、ときどきでも感じてくれていますか?
 
支える手はこんなにも、優しく逞しく、いつもそばにある。だから、
 
 
 
きっとこの先も、2人の素晴らしい世界が果てなく続いていきますように。
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ごとう のりこ
性別:
非公開
職業:
妄想家
自己紹介:
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