オレキミのPVを見るたびに、何か卵の話を書きたいな。と思っていたのですが。
ずいぶんなものが書き上がってしまいました。
PVとは遠くかけ離れたもので、異様に暗いです。
それでもいい。という方は、どうぞご覧頂けたらと思います。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行 ・ 岡田 准一 ・ 長野 博
セカイノタマゴ
失敗作のそれから生まれたのは、二度と思い出さないと誓った過去だった。
星が一つも見えないどんよりとした夜に、大切な人は初めて見せる慈しみ深い笑顔をいっぱいに浮かべて、しっかりとした口調で言った。
「ごめん。これが俺の生き方なんだ。」
早くから気付いていた。その人は、自分の元にとどめておくことなんて叶わない人。
「分かってる。もう行かないでなんて言わない。その代わり・・・・・その代わりに・・・言って欲しいんだ。お前は独りでも生きていける。って。」
さわり。と風が吹く。
「井ノ原は、一人でも生きていけるよ。俺が保障する。」
欲しいと願った言葉に、涙が出そうになる。
「ありがとう、坂本くん。」
それでもがんばって、笑った。ほんの少しの躊躇いもなく回れ右をした背中は、夜に溶け込むように遠ざかっていき、消えてしまった。初めから、存在しなかったかのように。
何があっても阻止したいと強く思っていたのに、その日が来た。
たくさんのきれいな世界を教えてくれた大切な人。日々は光に満ち溢れていると教えてくれた大切な人。確かめるように手を伸ばせば、必ず優しく強く握ってくれた人。どんな代償を払っても失うわけにはいかないと、心の中で決めていたはずなのに。
「井ノ原が禁忌を犯した。抹消だ。」
当然の掟。知らない神はいない。
「まさかホンマに、坂本くんを創るなんてな。」
思うがままの人間を創造することができるというのに、選んだのは大切なかつての存在。
「岡田、できないのなら俺が行こうか?」
泣き出しそうな笑顔で言う。そんな表情をされたら、できないとは言えない。
「ちゃんと抹消するよ。博こそ、大丈夫?」
大事にしてきた人を二人も失っても、壊れてしまわないだろうか。
「俺は平気だ。『セカイノタマゴ』を司る、責任者だから。」
平気なわけがない。責任者としての重圧が言わせてる虚言だ。まっすぐに見据えてくる瞳も、容易く壊してしまえそうなくらい不安定に揺れている。それを指摘しないのは、逃げ。弱くて卑怯な自分を守るための、盾。
禁忌を犯した三番目の神は、首を撥ねられる最後の瞬間まで、笑顔だった。
神は今日も『セカイノタマゴ』を創造する。『セカイノタマゴ』は人間を生み出す。
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