高校生トニセン小話更新です。
ちょっと、本当にちょっとだけ真面目な話。
出演 : 坂本 昌行 ・ 長野 博 ・ 井ノ原 快彦
仲良し事変
俺と坂本くんは長野くんと一緒にいる事なんて呼吸をするのと同等のことだと認識してる。幼馴染だからというのはあるのかもしれないけど、とにかく3人でいるとすごく自然体で過ごせるから。こういう言い方は角が立つだろうしあんまりどうかと思いつつぶっちゃけ「楽」だ。でもクラスのみんなの考え方はちょっと違って、俺のことをうらやんでいる人間が結構いるらしい。むしろ女子はズルイとか囁いているらしい。何がどうずるいのかが不明。坂本くんと長野くんがこの環境についてどういう風に感じているのかを聞いてみようかと思ったけど、微妙に怖くなったからやめた。
俺と長野と井ノ原が一緒にいる事なんて当たり前のことだ。今までずっとそうだったんだから。そうあることは楽しいし。寺山は俺と井ノ原がセットでよかったと、よくしみじみ呟いている。ただ、井ノ原から聞いた話によるとクラスの連中が俺たちの関係をうらやましく思ってるらしい。長野と仲良くなりたいんだったらもっと積極的に声をかければいいだけの話だ。それをせずにただうらやましがってても何も進展しない。学校に来ても寝てることの方が多いからチャンスは格段に少ないが、少なくともメシどきには起きているんだし。クラスの奴らに時々言い寄られている井ノ原、ご愁傷さま。
ある日、偶然に耳に入った。数人の女子が井ノ原に自分や坂本くんばっかり俺と一緒にいてズルイとか何とか。何がどうズルイんだろう?っていうかどうしてそれを井ノ原に言うんだろう?俺は坂本くんと井ノ原以外の人とは絡みたくないなんてアピールしたことはないし、坂本くんと井ノ原だって俺には近付かせないぞオーラを出したことはない。ただ幼馴染で仲良しで一緒にいると居心地がいいから自ずとそういう状況になっているだけで、いわば女子の仲良しグループと同じようなものだ。俺と話したいならいつでも話しかけてくれて構わない。井ノ原に苦情申し立てをしたところで井ノ原はそんなことがあったなんて絶対に俺には言わないから逆に遠回りなのに。
「ねぇ、俺がどうかした?」
あまりに井ノ原が困っていたから、会話の中に割り込んでみた。すると、
「なんでもない。」
「長野くんの悪口言ってたとかそういうのじゃないから。」
「ただ井ノ原にインタビューしてただけだよ。」
井ノ原を取り囲んでいた女子3人組からそんな答えが返ってきた。嘘も甚だしい。
「もしかしてなんだけど、俺と絡みたかった?」
「え、っと、でもさ、長野くんはいつも井ノ原と坂本と一緒じゃん?3人だけのグループって決めてるんでしょ?」
そうか。みんなそんな風に思ってたんだ。
「別に3人だけじゃなきゃダメってことないよ。3人でいると楽しいし気も使わなくていいから自然とそうしてるだけだし。っていうかなんでみんな井ノ原経由で繋ぎを取りたがってるの?俺、みんなのこと嫌ってないけど井ノ原がすごく困った表情を浮かべてるのに気付きもしないで平然としてる神経は疑うな。」
言いすぎたとは思ってない。化けの皮が剥がれてこれから過ごす日々が若干不快感に満ちたものになるかもしれないけど、それは承服しておくことにする。だって我慢できなかった自分の未熟さが招いた事態だ。
「長野くんって意外と強気なのね。」
「そう?」
「そうだよ。だっていつもフワフワしてるもん。井ノ原、アンタこれからも坂本と長野くん係決定!」
「え?俺?かかり?」
「こんなの他のクラスの子が見たらヤバイじゃん!ギャップ萌えー。とか言われて争奪戦とか始まったら大変でしょ!」
「ぎゃっぷ?もえ?何?長野くん取り合うの?なんで?」
井ノ原はクラスのみんなと仲がいい。こういう諍いが発生しても、結局はいつの間にか治まってる。アレだけクラスのみんなに対して無関心を装ってる坂本くんがハブにされないのと同じくらい不思議だ。
「とにかくっ!長野くんはウチのクラスの長野くんなの!みんな話したい時に話しかけるの!長野くんもそういうことでいい?」
「もちろん。」
問題は済し崩しな気もするけど解決したらしい。井ノ原はスゴイ。
何か井ノ原絡みでもめたらしい。というかむしろ長野絡みの違いないんだろうが。まぁ、どうあれ俺としては長野も井ノ原も楽しそうにしているから平和的解決で幕を閉じたんだろうという結論に達した。というかアイスコーヒーは別にMサイズでよかった。でも井ノ原に笑顔でLサイズにしてあげる。と言われたら断れなかった。
今日も仲良く放課後に寄り道。平和だ。あ、今日は母さん出かけていないんだった。ゆりとうめとかすみだけで留守番してるのか。そうなのか。・・・・・でも父さんが今日は早く帰ってくるって言ってたからいいか。晩ご飯、晩ご飯は店屋物とか食べたくないし、この流れで坂本くんの家に寄って帰ろう。そうしよう。
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