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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/28 (Sun) 16:48:21

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No.308
2009/01/03 (Sat) 17:31:29

アンケート中編、第3更新です。


あけましておめでとうございます。
と、申しましてもすでに1月3日になってしまいました。
ご挨拶が遅くなって申し訳ありません。
本年も何卒、よろしくお願いいたします。


さて、カウントダウン。
V6が出る事を知らなかった方が多かったようで、なんだか大変だったようですね。
幸いにも、ごとうは某所にて近隣蕎麦屋より中継するという情報を得ておりました。
おかげさまで録画もさせていただきましたよ。
それにしても・・・・・
あんなに近所の店から中継するなら初めから来てれば良かったんじゃ。
今年の年末は、最初からドームでお目にかかれる事を祈っております。

そしてフットサル!
6人ご出演。
録画しておいて良かった(大汗)。

最後になりましたが。

りこさま。
メッセージ、ありがとうございました。
小説はどうぞお持ち帰りください。
気に入っていただけたというお言葉に感激いたしております。
お返事が遅くなり、本当に申し訳ありません。
これからもお眼鏡にかなう小説が書けるようがんばります!


出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行 ・ 長野 博 ・ 森田 剛















 空の青さと雲の白さ 明るく幸せな日々 神聖な夜
 僕は独り想う 何て素晴らしい世界だろうと
 
 人目も憚らず高らかに響く歌声に、酷い悪寒と全身の血液が逆流するような感覚に襲われた。手に余る男だとは常々身を以って痛感していたが、重ねて手の施しようの無いバカであることも発覚したのだから堪らない。力任せにすっかり薄っぺらくなってしまった肩を掴んで振り向かせた坂本は、突然施された行為に驚いたのか歌を中断してこちらを見つめる男に真っ直ぐな視線を突き刺した。両の眉をハの字になるくらいに下げて苦笑を称え、切なる望みを託して投げかけた問いに返された言葉はケンカを売っている以外の何と捉える事ができよう。
「セカンドのリストにお前の名前があった。どういうことだ?」
「そういうことだよ。」
乾いた音がとてもよく響いた。安っぽいカップルの修羅場のような光景に通りがかりの人間の足が止まったが、そんなことを気にしていられる余裕はない。まだ国会で決議が下りていないというのに着々と進められている地球再調査の準備。その調査用シャトルの搭乗員名簿に見つけたのは、井ノ原の名前。
「認めない。」
「うん、ありがと。」
「は?」
「坂本くんが友達になってくれて、すごく嬉しかったから。だから、ありがとう。」
誰の意見にも流されない。自分の世界は自分だけのもので、それを充実させるために必要なものは躊躇うことなく傍に引き止めてきた。絶対的なアイデンティティだ。だというのに井ノ原は、壊そうとしている。認められるわけがなかった。
「行かせないからな。」
憂いているのは世界か、自分の身の上か。井ノ原が長野に見せられた資料映像で地球に憧れを抱いているのは知っていた。けれどあくまで過去の栄光。もう一度全く同じものが取り戻せる可能性は、ほぼ無い。ましてや残された短すぎる寿命を終えるまでにお目にかかれるかとなると、可能性はゼロになる。辿り着ける保障のない理想郷に確定的な危険を冒してまで行かせることに肯定的な意見を示すなんて甘い考えは、却下だ。
「絶対に行かせない。」
「坂本くんは、優しいねぇ。俺、チョー幸せだよ。」
どんな手段を使っても計画は潰してやると、決めた。
 
 すべてを丸く治めるためだと井ノ原は穏やかに笑った。厳重に隠蔽された真実が、まるで映画やドラマの中で繰り広げられた絵空事のように紡がれる。あの船が遭遇したすべてを、井ノ原は余すことなく語った。シャトル開発の第一線で活躍していた森田が旅客シャトルの整備担当に左遷された理由は到底納得できるものでなく、怒りに満ちた感情が心を覆いつくす。
「つまり最初から、アンタらは捨て駒だったってことかよ。」
「地球は巨大な軍事基地として、機能してた。残された人類が滅亡したっていうのは、真っ赤な嘘だ。放射能を垂れ流してるのは地球の周りを覆ってるガスで、人為的に放出されてる。俺たちが捨て駒だったかどうかの断言は出来ない。シャトルの故障は誰かが故意にそうなるように仕向けたわけだしな。」
2年の歳月を費やして用意された情報は、戦争という隠れ蓑を利用した欲塗れの愚行の一部始終。あの核兵器総動員で幕を閉じた戦争は、すべての計画の一端。連合国軍はすべての人類を支配するに値する軍事力を持つため、地球から外側から世情を動かせる人間や不必要な人間を排除した。放射能で構成されたガスで地球を覆い、軍事基地=要塞としての造り替えを行う。ある程度の準備が整い、2年前、井ノ原たちが乗ったシャトルが調査というカムフラージュの元、実際には宇宙ステーションに滞在していた政府の用心を地球に送り届ける任を負って呼び寄せられる。ところが不測の事態、放射能のガスなど何の問題も無く突破する予定だったシャトルはまさにその地点ですべての機械にトラブルを起こし、酷く汚染された状態で地球に不時着した。仲間を失い傷心にいいだけ苛まれた井ノ原を待ち受けていたのは、容赦ない現実。空白の2年間と語った時間は作り事。真実の一端を垣間見てしまった厄介な人間を、このまま生かしておくべきかの議論に決着が着くのを生殺しのような恐怖感の中で待たされていた。言い渡された緘口令と共に帰還を果たした井ノ原の中に、芽生えたのは本当の事を明らかにしてやりたいという対抗心。放射能による汚染で命を削られた身体を知りながらも、大切な人たちに嘘で塗り固められた世界に生きて欲しくないという切なる願いを持ち、調べられる限りの事をあらゆる手段を駆使して調べ上げた。知り得た情報は、薄汚れたものが大半で笑うしかないと絶望もしたが。
「誰だよ?シャトルを故障させたヤツ。」
「まだ断定できないから、言えないんだ。でも、いずれはっきりする。シャトルが些細な磁場にもトラブルを起こすように細工した犯人が。」
絡まり合う思惑の色が解れれば、いずれ。
「で?」
「え?」
「俺の作ったシャトルで出たらアンタ、宇宙航空条約違反じゃん。それでも、行きたい理由って何?」
みんな、井ノ原に優しい。
「本当の事を、教えたいだけだよ。大切な人に本当のこと、知ってほしい。坂本くんと、長野くんと、剛に。」
森田がまずいと罵って止まないコーヒー。素直ではない彼が、実は井ノ原にだけ入れてくれるとっておきだ。コレを飲めるのもあと片手で数えられる回数しかないだろう。そう考えると愛おしささえ湧き上がり、カップに手を伸ばしたがそれが口元へ辿り着くことはなく、逃れるように転倒して足元に転がる。ここまでもダメになってしまった身体に舌打ちした井ノ原の表情は、今にも泣き出しそうで森田が感じたのはやりきれない痛み。
「右手、使えねぇの?」
恐る恐る吐き出された問いかけ。
「感覚があんまりない。って、他の人には内緒ね。」
いつも通りを意識して作られた偽りの笑顔で返される答え。
「他は大丈夫なのかよ。」
聞きたくない。けれど自分のシャトルに乗せる以上、聞いておかなければならない。
「残された時間は、短いと思う。でも俺はっ・・・・・・・」
希う目が激情にも似た強さを孕んでいて、
「2日。あと2日で出られるようにするからさ。アンタは絶対に間に合う。」
針の穴ほどでも救いを与えたい。
「剛、俺さ、剛がすごいって知ってる。すごく頼りにしてるし、大丈夫なんだろうなってさ、自信があるんだ。」
誤った過去を正すための、誤った未来を導かないための揉み消された真実を明かす。
 
 
 あからさまに不自然な国会中継を垂れ流していたテレビを見て苛立ち、途中で見る事を放棄した。絶対にそうだと言いきれる根拠がある。否決された一つの議案、地球の再調査。ほぼ可決で固まり始めていたというのに、突如反対派に寝返った政治家たちに、圧力が働いているだろうことが顕著過ぎてむしろ笑える。裏から圧力をかけるように手を回した人間に慈しみの感情がない事は、我が身で経験済み。厄介な蜘蛛の糸に引っかかったことに気付かず無邪気に接している死に損ないの彼、井ノ原にも少なからず同情の念を抱く。が、自分の考えを今さら変える気はなく、愁嘆場の演出は着々と進んでいた。歴史は繰り返すとマルクスが述べたように、いや、数多くの歴史家がそれに類似した苦言を呈したように、人間が人間である以上は連鎖的欲求不満解消を止めることなどできないのかもしれない。その渦に巻き込まれる事を事前に察知し、回避を選択できれば蚊帳の外に出られる。嘲笑に値する点は、人間関係の歯車が内側から亀裂を生み出そうと準備をしていることか。死が別つか、謀略が別つか、横槍により破壊されるか、最悪ながらまたも強欲が勝利するか、クライマックスに差し掛かった物語は中庸さを欠落させて暴走中だ。
「残念?」
「じゃないよ。」
去来すると踏んでいた落胆は滲んでおらず、自分には関係ないと言わんばかりの表情。肩を持つ発言を重ねようとしていたが、不要のようだ。
「長野くんも坂本くんも、俺のこといつまでも弟みたいに可愛がってくれるからさ、返さなきゃいけない気持ちがいっぱいあるんだよね。偉い人が何を言っても、俺はそれをちゃんと返すよ。どんな方法になっても、返すんだ。」
甘ったるい戯言をひけらかしてくれるものだと嘲けりながら、表面上はやわらかく笑う長野の手は自然の流れに沿って井ノ原の頭を撫でた。嬉しそうに身を預ける姿を今すぐに完膚なきまで叩き壊したい衝動を抑えるのは、精神力を大幅に削る。
「返そうとか思う必要なんてないんだよ。井ノ原は井ノ原の好きなように生きればいい。」
それでこそ、効果的になるのだ。
「井ノ原には思うが侭に幸せになってもらいたいから。」
奪われる痛みを与えたい。一生の傷になる、絶大な失望感を。
 
 
 欲張りすぎたツケが大挙して押し寄せたのだろう。自宅まであと5分に満たない距離まで差し掛かっておきながら、耐え切れなくなった身体は簡単に冷たいアスファルトに衝突した。偶然に通りかかったご婦人の金切り声に等しい悲鳴が響き渡った。見ず知らずの他人が倒れた程度で何を騒ぐ必要があるのか。そんな考えが間違っていることを、身を捩って起こそうとしてやっと気付く。ここまでも脆くなっていたというのは計算外。体を支えるために着こうとした右腕は、肘から先がたかがアスファルトにぶつかった程度の衝撃で明後日の方向へ向いていた。あと2日待てと森田に言われたのだ。シャトルに乗るまで体の不調を大事に発展させたくない。どうか、騒がないでほしい。我慢することにはとっくに慣れているから、どうか。井ノ原はまだ正常に機能している左腕で必死に起き上がり、大きく呼吸をして立ち上がる。ダラリと垂れ下がった右腕は非常にグロテスクなビジュアルだ。努めて冷静な逡巡を一頻り行い、至った答えはごく普通のこと。とりあえず、すべきことは帰宅。わざわざ目立つ場所で醜態を披露し続ける必要は全くない。気持ちの悪い映像をお目にかけてしまった通りすがりのご婦人に会釈をし、他におかしな箇所はないかを確認する。上唇の辺りがスースーするので触ってみると、赤い液体が指先にこびり付いた。路駐を決め込んでいる車のサイドミラーを拝借して苦笑。鼻血なんて子供の頃以来のことで、このまま歩くほどマヌケな絵面も無いと袖口で拭っておく。目算する以上にずっと少なそうな残り時間は、目的を達成するだけの恩赦を与えてくれるのだろうか。
(頼むよ。あと1週間でいいんだ。)
覚束ない足取りに必死で発破をかけながら、自宅への道のりを消化しつつ考えた。この厄介な骨折を、いかに上手に誤魔化すかを。
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