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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/04/28 (Sun) 22:09:16

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No.306
2008/12/30 (Tue) 23:57:47

アンケート中編、第2話更新です。


トニコンDVDは発売日は決定でいいんですか?
なんだか地元の某レンタルビデオ店では予約が始まっていますが・・・・・
公式が一番情報の掲載が遅いというのは、何だか、ねぇ(苦笑)。


出演 : 井ノ原 快彦 ・ 森田 剛 ・ 坂本 昌行 ・ 長野 博


















今にも崩落しそうな図体こそ大きいが明らかに時代遅れなルックスをしたアトリエの主は、非正規のスクラップ屋でかき集めたパーツを抱えてご満悦で戻った。目的のものはすでに完成と表現できる状態にある。しかし型破りでお馴染みの彼、森田としては、まだまだ手を入れておきたい部分が多い。常に大人であろうとする『コレ』を必要とする人物は、実はそこいらのワガママ気ままな子供よりもずっと手のかかる人間である。一昨日だって階段を降りようとした刹那に眩暈を起こし、蒲田行進曲顔負けの盛大な階段落ちをやったにもかかわらず、パックリと切れた額から大量の流血をしながらもヘラヘラと笑い、バンドエイドをコンビニに買いに行かなければいけないと鼻歌交じりで出て行った。昨日、頭に包帯をぐるぐると巻かれた状態で顔を出し、けれど変わらずヘラヘラと笑って坂本に怒られた。とイタズラが発覚してしまったワンパク坊主のように照れ臭そうに言っていた。この人、井ノ原快彦という男は病気を差し引いても長生きしそうにない。手のかかり過ぎる大人もいかがなものか?と森田は隠すことなく大きなため息をついてやった。その裏側にある事情は深くて奥底には何が潜んでいるのかが全く見えなくとも、井ノ原は優しい。優しさを即実行に移せる強さも兼ね備えている。もっと、もっと、いつか還る日まで、生きていて欲しかった。
「ねー。漂白剤ってどこにあんの?」
階上にある部屋から顔を出した井ノ原は、真っ赤に彩られたTシャツの首元をパタパタと仰ぎながら訊ねる。自分の部屋があるくせにこのアトリエに勝手に泊り込んでは、時々漂白剤を要求するのだ。寝ている間の行動までも管理することは難しい。彼はまた無意識の状態で吐血したのだと悟った森田は、暫しリネン室兼ランドリールームの棚の中身を思い描いた。最も高い頻度で使用する井ノ原が発見できない漂白剤の所在は、
「アンタ、この間使い切ったとか言ってなかった?」
となるわけだ。
「そーだったっけ?」
「っつーか先に顔洗えよ。行儀の悪い吸血鬼みたいになってる。」
最上級を意識した森田なりの糾弾は、井ノ原に対して興味のない「あー。」という返事をこぼす程度にしか響かなかったらしい。捲り上げたシャツの裾で乱暴に口元を拭って、やれ買いに行くのは面倒だの、いっそシーツなんて捨ててしまおうかだの、身勝手な文句を並べ立てている。睡眠時間を削ってまで作業に勤しんでいる自分を、陳腐に思わないのはお人好し過ぎるのかもしれない。けれど何かを望むには世界が歪みすぎていたし、井ノ原がすっかり弱りきっている事実は捻じ曲げようがなかった。
 
 交わされた約束がある。そんな約束はこちらから願い下げだと声に出さずに非難を浴びせた。物心がついたときには、詳細に説明するならば両親からの聞き売りだが生まれてまもなくから、世界が自分を中心に回っているという大きな勘違いをしている彼、坂本とごく普通のサラリーマンの家庭に生まれた長野は幼馴染みという関係を継続中だ。それぞれが持つ家庭の構成から判断すれば、幼馴染みの枠に収まる理由はまず見つからない。金もコネも権力も使いたい放題の坂本の気まぐれの産物だと半ば強引に理由付ける程度が関の山だろう。かと言って長野自身もきちんとしたきっかけを知らない。フワフワと地に足が着かず、頼りないことこの上ない人のいい母親の話によると、偶然長野を見かけた坂本が、友達になりたいと菓子折りを携えて家まで押しかけてきたそうだが・・・・・生まれて間もない赤ん坊がそんな化け物染みた行動を起こすはずがない。たまたま産婦人科で隣りに座って、親同士の世間話の間に赤ん坊同士が笑い合ったとか、きっと些少の理由が大袈裟に発展しただけなのだ。実際に菓子折りを持って玄関に立っていたのは両親だったそうだし。そこで長野はすでに違和感を訴える勢いになる。子供同士を友達付き合いさせる申し出を、両親揃って菓子折りまで持参で家に押しかけてくるというプロセスを踏もうという感覚が理解出来ない。長野の記憶の中で、坂本の周囲には常に世話係と呼ばれる大人が多数付き纏っていて、とかく坂本と一緒に居ることが多かった長野も、その大人たちの世話になっていた気がする。住む世界が違う。と子供心に認識しつつなぜか離れることが出来なかったのは、坂本に他に友達と呼べる存在が全く居ないことに同情さえ抱いていたからなのだろうか。それらの過去も、今となっては忌々しい以外の何者でもない。あの日、坂本が平然と放った我儘により、長野は両親と己の意思など完全に無視で引き離されたのだ。
「約束する。俺は一生長野と友達だ。それで充分満足だろ?」
一生赦さないと誓った。嬲り殺してやりたいと思わない日はない。ただ、今はまだその時ではない。
 
 見えることが当たり前のものが見えないのが、辛いと感じなかったのは不思議だ。真綿で首を絞めるという表現があるが、これがその状態なのだろうとどこか他人事のように捉えていた。ときどきから頻繁に変わった視覚の不良。靄がかかったように視界が曖昧になることもあれば、暗転したように視界がゼロになることもある。残された時間が極端に少ない事を主張する変化。現代医学で対抗できる範疇を最初から凌駕していた。2年も生き長らえたことすら奇跡に近いことなのだ。だからみっともなく嘆くことなく、出来る事はしておこうと冷静に考え、行動を起こし続けている。吐血をしても誰も大したリアクションは取らなくなった。見慣れてしまったのか、見捨てられてしまったのか。大袈裟に騒がれて入院生活など強いられても困るのが本音だが、井ノ原はマイナス方向の想像をする。例え自分がこの世の人間でなくなる日が来ても、誰も気に留めることなく日々は過ぎていくこと。
「行きたかったら、もういつでも出れるから。」
森田に最終章の始まりを告げられたせいだろうか。それとも、戦争が始まったせい?いや、正確には戦争は、ずっと続いていた。30年前、の愚かな核戦争の火種は水面下で燻り、己の地位を主張する人々は再演の時を虎視眈々と狙っている。そして同じ過ちを繰り返すに違いない。地球を放棄して慣れない宇宙に出たせいで、一部の富裕層を除いた民衆の生活は崩壊の一途を辿っている。けれど軍需景気とでもいうのか、戦争が始まればきっと、失業率は大幅に下がるに違いない。兵器の工場で働いたり、戦争に行ったり。大昔みたいに女、子供、老人以外は片っ端から徴兵するというひどい状況ではないのに、絶好のチャンスだと、不景気のあおりで職にあぶれていた人たちは食いつく。戦争のおかげだと笑う。国はいつだって戦地に赴く人間を募集していて、一般の企業よりもずっと給料がいいという理由で、若者、新卒の学生までもがその道を選択する。狂った時代に翻弄されて、毎日たくさんの人が死んでいき、ニュースのトップ項目は常に戦争の話。そんなことが幸せだと?そんな理由で大切な人を失ってもなお、戦争は必要だと?
「井ノ原は生きるべきだよ。幸せにならなきゃ。」
優しく頭を撫でてくれた長野を、
「お前は俺の友達なんだ。勝手に死ぬなんて認めない。」
横柄な言い回しで友達宣言をしてくれる坂本を、
「アンタ、他にもっと上手で楽な生き方があるだろ。」
ぶっきらぼうながら想ってくれる森田を、
「大好き。」
大切な人を守る為に必要な犠牲もあるのだ。失明してしまっても、身体中の血を出し尽くしても。
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ごとう のりこ
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非公開
職業:
妄想家
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