V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.336
2009/07/26 (Sun) 12:01:14
リーダー生誕記念短編、更新です。
ま、間に合わなかった・・・・・
もう間に合う気は微塵もしていなかったです。ダメですね。
リーダー、38歳のお誕生日おめでとうございます。
おじいちゃんと揶揄されますが、世間の38歳よりは随分若いと思います。
というかもう、年をとりそうな気がしない(笑)。
ですが、お酒はどうぞ控えめに。
毎日快活に幸せにお過ごしください。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
ま、間に合わなかった・・・・・
もう間に合う気は微塵もしていなかったです。ダメですね。
リーダー、38歳のお誕生日おめでとうございます。
おじいちゃんと揶揄されますが、世間の38歳よりは随分若いと思います。
というかもう、年をとりそうな気がしない(笑)。
ですが、お酒はどうぞ控えめに。
毎日快活に幸せにお過ごしください。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
思考凍結
潔すぎて、それが逆にリアルを強調していたんだ。あなたは早くも諦めているのに、俺だけが未練がましく拘ってる。そんな食い違いが生じているんじゃないかって不安が一向に払拭できないながら、みんなには断言してる。「あの人は絶対に戻ってくる。」と。確かに信じていたのは事実に相違ない。あの人は変わらない様子で復帰して、また誰もが見惚れるようなプレーを見せてくれるって。なのに、否定的なコメントを仲のいいチームメイトに叩きつけられると正直、もう二度と戻ってこないんじゃないかとか思えてくるから厳しい。あの人は帰ってくるに決まってる。そう自分にしつこく言い聞かせる毎日は思いのほか疲れるんだ。心に負担が掛かってプレーに集中できないって感じ。今日の練習が終わったとき、誰もいなくなったグラウンドを見て僅かの逡巡を流したあとで呟いた言葉を、拾ったのは運の悪いことに監督だった。
「だったら辞めちまえ。替わりにそこに行きたいヤツは5万といるんだ。」
彼らは『精鋭』だと、その試合の中継をしていたアナウンサーが軽々しく表現した。確かに精鋭と呼ぶに等しい選手が大半だろう。1ヶ月に渡る厳しい代表選考合宿を乗り越え、見事レギュラーナンバーを手にした人間が集っているのだ。でも、その中にあの人はいないってことが、違和感を生み出す。仰々しくも世間から『神様』なんて言われたりするほどに素晴らしい選手は、怪我で第一線を退いているのに。そしてそのポジションには神様には遠く及ばない人間が収まっているのに。
「坂本くんがいないって、つまんない。」
プロは部活とは絶対的に違う。人聞きの悪い言い方をすれば、そう、生きるか死ぬか。代表に選ばれ且つ、レギュラーナンバーを自分の背中に維持し続けることが大前提。外されたとして、帰る場所はある。本来のチームに戻り、シーズンを戦い抜く毎日。だから余計に、高望みが過ぎちゃうんだろうね。ありすぎると贅沢が身体に染み付いてくる。珍しく散らそうと思わなかった。四六時中チームプレーの中で有能な駒として機能することに固執していたあの頃とは雲泥の差。楽しくて、嬉しくて、ワクワクする。無愛想で身勝手?その意見はあの人の何を見て発するもの?こんなにも触発されるミリョクノカタマリ的選手とは、そうそう出会えない。針の穴に糸を通すほどの奇跡に立ち会ってる感動を、もっと素直に味わえばいい。なんて、今となっては過去形。
「楽しいと思えなきゃ意味ないんですけど。」
「だったら辞めちまえ。替わりにそこに行きたいヤツは5万といるんだ。」
じゃあ遠慮なく、お言葉に甘えて。と喉元まで競り上がってきた言葉を必死で押さえ込む。監督の言うことは尤もだ。俺はプロの選手で、ましてや代表メンバーなんて特別な地位を所有している。選手やってるとさ、みんなと同じ。やっぱ代表選手ってのは目指しちゃうわけ。だから簡単には辞めるわけにいかない。ジレンマだね。うん、そうだ。現実は微塵も甘くなくて、やるからには楽しみたいって信条はなかなか貫けないもの。あの人と一緒にやってると楽しいって言うか、普段は見えないものが見えて、普段は感じられない感覚を体験できたりする。んで思うわけ。陳腐な表現、もっとやりたい。
「だから代表のレギュラーナンバー、誰にも譲らないでがんばってきた・・・・・って違う。俺は好きだからこそ続けてるんだから。坂本くんに押し付けちゃダメでしょぉ。俺は俺の意志で続けてる中で偶然、坂本くんに巡り会えた。・・・・・あーあ、早く戻ってきてくんないかなぁ。」
怪我でレギュラーナンバーを外さざるを得なかったけれど、代表登録は抹消されてない。必ず戻ってきてくれるよね?ここに。
ナニソレ?
イマ、ナンテイッタノ?
今年の世界大会は最悪だった。誰の声も聞こえない。誰にも声が届かない。チームプレイ必須の中の、孤独。選手の頭数だけ取り揃えられた孤独は、試合になる予定だったその時間を完膚なきまでに破壊し、どこの学生の練習試合だ。と批判されるほどにお粗末な汚点だけを鮮明に残した。このタイミングはないよ。いや、むしろベストなタイミングを見計らった?いずれにしても、終わったんだ。自分が一番よく分かってる。次は、ない。
俺は代表を外れる。正直に言えば、選手として再起できるかも微妙らしいからな。
1回戦の2日前に本人がチームメイトの前でしでかした告白は、激震にて波乱を巻き起こし、結果、代表は1回戦敗退。ファンにもマスコミにも解説者にもとにかく片っ端から叩かれつつ帰国し、空港で生卵の洗礼を受けたのは俺。警備員がスッ飛んできたけど、これは自業自得だなぁ。とか考えると不思議と腹は立たなかった。しばらくは使いモノにならないって保証できるしね。だって戻ってこない。あの人はもう戻ってくる気はない。そこまで明言はしなかったとしても、分かるよ。長い付き合いじゃん。年齢的に厳しいって、口癖みたいに言ってた。回復力も若いときほどじゃないから、怪我だけは極力しないようにとか、保守的な考えを抱いたり。こういう瞬間が遠からず訪れる事を、俺は心のどこかで知っていたのに。坂本くんは近いうちに、現役を去るって。
「生ける屍だね。うん、俺、上手い。」
「上手くねぇ。むしろ寒いし。っつーかお前さ、いる場所違うだろ。」
「たまにはいいよ。自分のチームの試合をスタンドで観戦するの。」
「まともぶった言い方しやがって。ただの仮病野郎が。」
「だってスゲーつまんないんだもん。坂本くんがいないから。」
坂本昌行って選手が一人欠けただけなのに、ワクワクしなくてやる気も起きない。魔法が解けたシンデレラみたいだ。空っぽで、すべてを失くして。
「俺は引退する。」
「え・・・。」
「ウチの上とブラッツとサニーハンズからコーチをやんねぇかって誘われた。」
それは魅力的なお誘い、光栄なことだろうね。
「アメリカの有名な医者を紹介してやるから手術を受けろ。とも言われたんだけどな、自分が一番分かる。もう現役の最前線ってのは難しい。今回の怪我で、それをはっきりと確信したよ。俺は選手としての時期を、過ぎちまったんだな。」
きれいな引き際を、褒めればいいのか?
「井ノ原、選手は世界中に数え切れないほどいる。これからだって増え続けるだろう。まだ出会えていない逸材の方が多いんだ。だから出会う前に、辞めたりすんな。」
知ってるよ。コレでも代表のレギュラーだったんだ。予選だけでも十二分に強い選手たちと出くわしたし、1回戦で当たったチームのエースナンバーを携えた選手は技巧的な上にダイナミック且つパワーも兼ね備えたプレイを披露してくれた。すごく興奮した。でも、もっともっと試合を続けていたいとは思えなかったから、違うんだよ。坂本くんほどじゃない。世界にはスゴイ選手がたくさんいるんだし、俺はまだ坂本くんに比べれば若い。匙を投げるのは早すぎる。と言ってくれようとしてるのは有り難いけど、けどね、
「ときめかないから、ヤダ。」
モチベーションが最悪で、何もないんだ。
「俺はやめる。」
「お前には失望した。勝手にしろ。」
宣告。俺はお払い箱にされた。
とある国の貧民街で、未経験者に毛の生えた程度の子供チームのコーチをしてる。みんな楽しそうでキラキラしてて、現役時代の自分と重なって仕方がない。あのあと、坂本くんはブラッツのコーチを2年勤めたけど、チームの成績不振の責任を取って辞めさせられた。坂本くんのせいじゃない。あのチームの選手には覇気がなく、きっとこれからどんな優秀なコーチが着いても結果は同じだろう。見る目のない人間ばかり多くてイヤになる。
「Ein Trainer ! Mother sagt,Essen wir mittagessen ! 」
「Ich gehe sofort ! 」
一度だけハガキをくれたことがあったね。チームのみんなが俺を探してる。って。どうやって俺の所在を突き止めたのかって、すごく驚いた。同時に、どこにいるか知ってるなら、みんなにアンタから教えてやりなよと思った。それをしなかったのは、ほんの少しだけでも俺の気持ちを理解してくれたからなんだって自惚れてるんだ。こっちは今日もいい天気だよ。坂本くん、そっちはどう?元気にしてる?まだ、生きてるの?PR
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