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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/03/29 (Fri) 19:19:59

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No.321
2009/03/28 (Sat) 11:59:50

世界観のみリンクシリーズ、第5回を更新です。


早く伊東健ちゃんを見たいです。
明日には見れるといいのですが・・・・・


出演 : 長野 博
















世紀末が。
 
 
 
 本州が4つに割れてくれた、おかげかもしれない。不謹慎かもしれなくても、そう思わずにはいられなかった。頭を冷やしなさいと、神様が言ったんだね。俺はあの子の生き方に口出しをする気はないし、そもそもそんな資格を持ち合わせていない。愉快な子だとは思っても理解をするには至らずに、絶縁を一方的に宣告されたのはつい数日前のこと。悲しい気持ちかなく、どちらかといえば気持ちが軽くなった。なんて失礼な話だと怒るかな。だって本当に、俺はお金を人生の中で一番に据えるってことが分からないから。特に今回はそれが強いんだよ。何億円、何兆円あっても絶対に取り戻せない。割れ目に落ちて消えた、儚い命。彼女が我が家に来て、そう、もう3年が経ってた。俺にはずっと可愛らしいルームメイトがいて、といってもネコ、旦那の海外転勤に付いて行った姉から預かった黒ネコ。『まつり』は縁日に行った姉夫婦が拾ってきた元野良。焼きそばが大好き。神社に住み着いていたせいか人懐っこく、気性はおとなしい方だったと思う。その『まつり』がある日連れて帰ってきたのが仔猫の『はづき』で、割れ目に落ちて首を骨折したせいで死んでしまった。『まつり』は『はづき』を連れて帰ってきた3日後くらいに突然いなくなったのに、『はづき』が死んだ翌日にひょっこり戻ってきた。独りって意外と寂しいかもしれないと感じてたから、すごく嬉しくて一緒にリビングのコタツで寝たんだっけ。翌朝にはしっかり風邪ひいちゃったけどね。そういう他人から見ればちっぽけかもしれない出来事が、身の丈に合ってるって改めて分かった。お金も必要だけど、お金ばっかりが幸せだと結びつける事は、俺には無理ってこと。
 
 仕事の合間や休みの日に、ときどきランチがてら割れ目を覗きに行く。もしかしたらひょっこり、『はづき』が顔を出すんじゃないかって女々しい未練。荼毘に臥したのは俺自身なんだから、有り得ない事だとは重々承知してるはずなのに。自分の中で全く異なる2種類の時間の流れがあって、一方はもちろん現実のそれ。もう一方は・・・・・都合のいい妄想。割れ目が出来たなんて実は嘘で、『はづき』は元気に毎日を過ごしてる。俺はその日に起こった出来事や美味しいご飯のお店や『まつり』の思い出を相槌すら寄越さない相手に話して聞かせるんだ。って、
「アホくさ。そんなん一銭の得にもならんやん。」
とか言われそう。そうかな?心が満たされれば幸せな気持ちになるよ。という言葉は飲み込む。自己主張をするのは苦手。波風立てず、毎日を極力穏やかにやりすごすのが目標。俺がこれを最初から最後まで頑張って成し遂げたんだ!ってものも特に欲しくない。無難なのがいい。多くは望んでいないから、この僅かな幸せだけはこれ以上壊れないように。切に切に願ってる。
 
 心的外傷後ストレス障害。近所の牛乳屋さんに朝の牛乳を取りに行ったら、牛乳屋さんと話し込んでる最中に地震が起こった。途端に俺は息が出来なくなって、その場にうずくまっちゃって、パーカーの中に引き篭もっていた『まつり』の鳴き声と牛乳屋のおばさんが名前を呼んでくれてる声が、ものすごく遠くに聞こえてたような気がする。カットアウトした意識が戻ったのは病院のベッドの上で、親切にも付き添ってくれていたおばさんが呼んでくれたお医者さんが言った病名がやたら小難しかった。直接温度を感じられるほどそばにいた『まつり』さえもいなくなってしまうような不安に駆られたんだ。細々と守ってきた些細な幸せも、これで取り上げられちゃうと思った。俺は取り立てて大きなものは望まなかったのに、なのに、奪われるって。EMDRとかナラティブセラピーとか心療内科に通う事を薦めるとか話していたお医者さんの声は、ほとんど頭に残ってない。はっきりと現実に引き戻された事を実感したのは、おばさんがイタズラに成功した子供みたいに笑って、膝の上で抱えていたトートバックの中から優しく『まつり』を出してくれた瞬間。放っておいてほしいんだ。自身も割れ目も俺の興味の範疇外のこと。関わらないように心掛けるから、これ以上、奪わないでいて。
「今度は北海道に割れ目ができちゃったんだって。恐いねぇ。」
おばさんが呟くように言った。お金の大好きな彼は北海道にまでも遠征するだろうか。世界は俺を、この先ずっと放っておいてくれるだろうか。
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