V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.252
2008/08/09 (Sat) 21:12:26
『イノまぁ祭り』出展作品、2本目をアップです。
加筆と修正を加えております。
こちら、タイトルの通り、
主催者様にお願いをしてなんとか24日に掲載していただいたものです。
リーダー誕生日作品ですね。
祝う気持ちはあふれていたのですが・・・・・
リーダーごめんなさい。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
加筆と修正を加えております。
こちら、タイトルの通り、
主催者様にお願いをしてなんとか24日に掲載していただいたものです。
リーダー誕生日作品ですね。
祝う気持ちはあふれていたのですが・・・・・
リーダーごめんなさい。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
7月24日に贈る25枚のカード
この世の中で、一番理解に苦しむのは自分の本当の気持ちだと思う。ものすごく中途半端に絡まり合っていて、どう扱えばいいのかが分からない。怒りや憎悪で構成されているのかと聞かれたなら、答えは『YES』であり『NO』だ。一生懸命考えた結果、やっぱり坂本くんを本気で嫌いにはなれなかったのだから。もっと最悪な出会い方をしていれば、こんな風には悩んでいない。自分が誰より知ってしまっている。坂本くんは優しくてあたたかくていつも味方でいてくれる・・・・・・・俺の両親を殺した人。
市会議員であるお兄さんの秘書を勤める人が、例え小学生の頃だとはいえ過失で人を殺めてしまったとなれば、それは大きなスキャンダルだ。当時、そのことについてどんな処分が成されたのかは知らない。そもそも、坂本くんが犯人だったなんてことさえ、つい先週まで知らなかった。坂本くんが選挙に出馬する。なんて本当か嘘かも定かじゃない噂が流れ始めた途端、安っぽそうなアッチ系の男の人たちが、呼びもしないのに事務所に来た。お前が子供の頃に、何をやったか知ってるんだぞ。って。俺は偶然に居合わせただけ。坂本くんとはもちろんだけど、お兄さんとも仲良しだったから顔を出してみた。したら遭遇した。子供がやることなんてたかが知れているだろうに、何を今さら恐喝の材料に使おうとしてるんだろう。マヌケな人たちだな。そう楽天的に考えていた。その男の人たちが、本題に触れるまでは。
「お前が火遊びなんかしなけりゃ、井ノ原快彦さんは施設に預けられずに済んだのにな。」
呼吸の仕方を、ほんの一瞬だけ忘れた。俺の両親は俺が小学生の頃、自宅が火事になって死んだ。俺はたまたま、友達の家族とバーベキューに行っていて助かった。そしてずっと、火災の原因は分からないと聞かされていたのだ。子供だし、ただ親がいなくなってしまったことが悲しくて何にも気が回らなかった。誰のせいだとか、は、考える余裕なんてなかったんだ。とにかく毎日、延々と泣いてた気がする。親戚に引き取ることを拒否され、俺は半年間だけ地元の児童養護施設にいた。たった半年しか施設にいなかったのは、坂本くん家が引き取ってくれたから。純粋な親切心で引き取ってくれたんだって、すごく感謝してた。疑ったことなんて、一度もない。でも理由があったんだ。大きな、一生かかっても消すことの出来ない罪に対する、贖罪の証という理由が。
ねぇ、さかもとくん。
おれとかぞくだって、ともだちだっていってくれたのは、うそだったの?
大学を卒業するまでは一緒に住んでいたから、ちゃんと知ってる。坂本くんは嘘が下手。俺を騙そうなんて微塵も思ってない。ただ、言い出せなかっただけで。当時はお父さんは市長さんだったし、立場とか大人の事情がいっぱいあったに決まってる。自分の子供が火遊びを原因とする火事を起こしたなんて、例え過失だって充分に失脚のきっかけになる。隠蔽するのも無理はない。そこに坂本くんの謝りたいという気持ちが埋もれていたとしても、大きな権力に覆い隠されるのは妥当な流れと呼べること。お父さんが引退したら今度はお兄さんが市会議員になっちゃって、坂本くんは大学卒業と同時に私設秘書になった。そう、ただタイミングを逸しただけ。悪気なんてない。俺にとって一番の味方で、友達で、お兄さん。そんな坂本くんが、悪意を交えて隠し事をするなんて有り得ない。そこまで確信めいたことを思いながら、俺は無言の抗議をしてしまった。自分でもどんな風であったかをはっきりと自覚してる。猜疑心と困惑と悲しみが入り混じった目で、縋るように見つめた。違う。いや、違わない。けれど抱く感情の根底は変わらないと、断言できる。そこにあるものに深く傷を負わされても、誓っていい。やっぱり俺は坂本くんが大好きで、一緒にいたい。ちゃんと、そう言うべきだった。なのに言葉はうまく綴られずに、歯痒いばかりの沈黙が酷く坂本くんを傷つけて、目の当たりにするに至ってしまったんだ。
さかもとくんは、こえをださずになくのがじょうずなんだね。
初めて出会った頃から、ずっとずっと照れ臭くて渡せなかったものがある。坂本くんが7月24日に生まれてきてくれたことをお祝いする気持ちと、俺と出会ってくれたことに感謝してるって気持ちをたくさんたくさん書いたバースデーカード。今年で25枚目になるそれらを、渡して伝えたい想いがある。きっとチャンスだ。最初で最後のチャンス。そりゃあ真実を知ってしまってショックだったけれど、どうしても否定できない。俺が自己の確立の核としているのは坂本くんが大好きだという強い想いで、寂しくて泣いた夜に一緒に寝てくれたこととか、親がいないからって学校で馬鹿にされたときに長い時間をかけて元気付けてくれたこととか、部活で試合に出て優勝したときに手を叩いて喜んで褒めてくれたこととか、学園祭で俺の歌を聴いて感動してくれたこととか、受験勉強で夜更かししてたら必ず夜食を差し入れしてくれたこととか、入試の前にお守りを近所の神社からもらってきてくれたこととか、就職が決まったときにスーツを一式プレゼントしてくれたこととか、全部、全部、幸せな思い出ばかり。それを否定するなど何が作用しても不可能。分かって欲しい。俺は坂本くんがいたから、大人になれたんだ。
だからいままでありがとうっていうよ。
だからこれからもいっしょにいてねっていうよ。
そして、
おたんじょうびおめでとうっていうよ。
いっぱいのはなたばとカードをもってあいにいくよ。
だいすきだっていうよ。
なんどでもいうよ。
おれはさかもとくんのあたたかなこころをしんじてる。
死んでしまった両親に怒られるとしても、俺は坂本くんを嫌いになれないだろう。そばで支えてくれた大切な人。喜怒哀楽を分かち合ってくれた大切な人。過去に犯した罪は消えなくても、今の気持ちを優先したいんだ。だから、7月24日に会いに行くことにする。家族として友人として、心から誕生日を祝うって決めたから。
おれはあなたがそばにいるから、いきていられる。
ホントだよ。
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