V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.251
2008/08/08 (Fri) 21:46:16
『イノまぁ祭り』出展作品、1本アップです。
掲載に当たり、加筆と修正を加えております。
楽しかった『イノまぁ祭り』が閉幕してしまいました・・・・・
素敵な作品と出会える、素晴らしい夏祭りでした。
主催者様には大感謝でございます。
さて、Vシュラン。
「マーナベー!!」が大ブレイク(?)。
末っ子はどこへ向かっているのでしょう。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
掲載に当たり、加筆と修正を加えております。
楽しかった『イノまぁ祭り』が閉幕してしまいました・・・・・
素敵な作品と出会える、素晴らしい夏祭りでした。
主催者様には大感謝でございます。
さて、Vシュラン。
「マーナベー!!」が大ブレイク(?)。
末っ子はどこへ向かっているのでしょう。
出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行
「ねぇ、坂本くん。」
「何?」
「俺のことなんて、全部忘れてね。」
「はぁ?」
「あんなヤツ他人だ。とか割り切って、あっさり忘れ去ってね。」
「どうしたんだ?」
「どうもしないよ。ただ、前もって頼んどこうかなぁって。」
「バーカ。お前が定年退職するとか、何年後の話なんだよ。」
「うん。でもやっぱり、きれいさっぱり忘れて欲しい。」
出し抜かれた。
泣かないのは、核心を隠されていたことに腹が立っているから。
誰より人懐っこくて、自分には本当のことも話してくれると思っていたのに。
その軽い口で、何でも話してくれているのだと思っていたのに。
本当のことを隠して、ずっと独りで闘っていたなんて。
孤独が大嫌いなくせに、最期は独りでいたなんて。
全部忘れて欲しいという言葉を、簡単に零した大切な友人。
もっと責めてもいいのに、ずっと笑っていた。
それは優しさ。
「また明日。」と言える、強さ。
ひとりぐらし
一人暮らしをしていて、良かったと井ノ原は心から思っていた。昨夜、やり残していた一番重要なことをやり終えた。これで、何の心残りもない。・・・・・といえば嘘になるのだろうか。ひとつだけ、自分の奥底に閉じ込めたままの強い願いがある。リビングのソファに置かれた大きなウサギのぬいぐるみが、あどけない様子を大いに表現していた。いい年をした男がぬいぐるみ。誰かがこれを見れば、こぞって馬鹿にされるのだろう。けれどそれはとても大切な思い出で、いつも心の支えだった。
かれこれ3年も前になる。口元がバッテンになったバカみたいに大きなうさぎのぬいぐるみは、押し付けられるように井ノ原の部屋にやって来た。会社の忘年会、おなじみの大ビンゴ大会。人気の家電や商品券が景品として注目を浴びる中、誰が言い出してその仲間入りを果たしてしまったのか、成人男性が両手いっぱいを駆使してやっと抱えられるほど大きな、ウサギのぬいぐるみ。女性陣の一部からはカワイイ。とお褒めの言葉を頂いていたようだが、いざ当たったとしてもやり場に困るそれ。笑いの神様が降りてきたかのように、見事に引き当てたのは同じ部署の2年先輩、坂本だった。強面でクールな彼がぬいぐるみを抱える様に、会場が大爆笑の渦に巻き込まれた。
井ノ原と坂本は頻繁に呑みに行く、謂わば飲み仲間であった。酸いも甘いも酒の力を借りて分かち合う、素直になれない2人。飲める酒の量も似ていれば、二日酔いになる日も同じ。まるで双子みたいだと、社内では喜ばしくないカタチで認知度が上昇している。ぬいぐるみ獲得でいいだけからかわれた坂本は、不貞腐れてしまって周囲が引くほど酒を飲み、潰れた挙句井ノ原に一任される始末。さすがに飲み仲間といえど成人男性を抱えて電車で帰宅させるのはかわいそうだと思ってくれた上司に、タクシーチケットを渡された井ノ原はタクシーに坂本とぬいぐるみを同乗させて帰宅する羽目になった。
今でも鮮明に記憶中枢に留まっている。駄々っ子のように頑なに、普段通りの威圧的な口調も織り交ぜながら坂本は、ぬいぐるみを井ノ原に押し付けた。
「お前の方が似合ってるんだから、お前が持ってろ!」
という根拠のない断言が妙に印象的だった。都合のいいように考えるなら、坂本はとんでもなく不器用で不恰好な口実を、作ってくれたのかもしれない。それから坂本は、「飲もう」と言って井ノ原の部屋に来ることが増えた。ぬいぐるみをちゃんと可愛がっているかチェックする。なんて陳腐な大義名分。ぬいぐるみを引き当てたときの表情を、ちゃんと見ていた。心の奥底から鬱陶しそうに眉間に皺を寄せ、まず受け取らせるという事に司会役の若い社員が泣きそうになるほどの苦労を強いられたたのだから。けれど坂本の行動は自惚れてしまうほどに幸せなこと。普段から何かと、井ノ原を気遣ってくれる人だったから。ただそれは同時に、井ノ原にとって不安を掻き立てる要素にもなっていた。見抜かれるのが恐くて、隠すことに必死になっているアレを、あるいは彼ならば、事も無げに知り得てしまうのではないかと。
ずっと一緒にいた人だから、知られたくないことがある。
やりかけた仕事は片付けた。
辞表はデスクの引き出しに入れてある。
ロッカーの鍵とIDも一緒に入れておいた。
誰にも何も告げてはいない。
けれどそれはむしろ気持ちを軽くしてくれている。
いつも通り「また、明日。」と言えた。
もう会うことはないけれど。
彼がぬいぐるみを見る。という意味不明の理由でこの部屋に来ることは、二度とない。
静かな夜。
終わる姿を彼に見られずにいられてよかった。
一人暮らしをしていて、よかった。
「坂本くん。今日はすごく、ビールがおいしいよ。」
大きなウサギのぬいぐるみが部屋にある。
お気に入りのソファを半分ほど占領していて、若干ウザい。
けれど、大切なものだから。
すべてを独りで片して去っていった彼が、遺した唯一のもの。
ぬいぐるみは知っていただろう。
近いうちに、井ノ原が死んでしまうことなど。
病魔に侵食された身体を、抱えていたことなど。
それを悟られまいと、毎日をやり過ごすことに必死だったことなど。
話しかけても返事はしないけれど、嫌な表情もしなければ文句も言わない。
きっと彼にとって一番都合のよかった相手だ。
「井ノ原、俺はお前のことを、友達だと思ってたんだぞ。」
独りでも笑える儚くも強い彼は、もういない。
『友達』という言葉の響きが、やけに虚しく存在を主張していた。
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