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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/05/06 (Mon) 19:16:12

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No.273
2008/10/11 (Sat) 23:58:01

短編更新です。

テレビでVさんにお目にかかることが少なくなりました。
も、萌えが補充できません。

クマグスもタイノッチもオンエアがないんです。

Vシュランと百識だけ!?
それって、それって寂しすぎません?


出演 : 井ノ原 快彦 ・ 坂本 昌行












ここじゃなければどこでもいい
 

 


 
 ここじゃないどこかに連れて行ってよ。
 

 
 コスモスの迷路を、終わりの見えないままに彷徨う。答えはすでに示された。けれど、未だ示されずにいる。
 なぜ彼は笑っていたのだろうか?彼は幸せだから笑っていたのだ。なぜ彼はそれを望んだのだろうか?彼は誰にも侵されることのない永遠を手に入れる方法としてそれが相応しいと考えたからだ。なぜ彼は・・・・・

 
 吐き気がした。人身売買なんてちっとも珍しくはない。年間で一体どれ程の人間が消息を絶っていることか。なのに、その日は酷く吐き気がして憤りを感じて、とても耐えられる心境ではなかったのだ。
 糾弾。それに取って代えたように起こした行動に、一番驚いたのは自分自身。何を思ってそんなにも突飛な行為に及んだのか、原因は、他でもない彼の笑顔だ。
 
 頼りなくも強く人間を拒絶する井ノ原の手を、坂本は真っ向から引き寄せた。共に行こうと、共に在ろうと。拙く僅かに握り返された手の温度が、あたたかかったことははっきりとした現実だと感じる。格差なんてない。純粋に井ノ原は自分の友達だと、改めて強く心の中で反芻した。
「これから、どこへ行きたい?」
「・・・・・ここじゃなきゃ、いい。ここじゃないどこかに連れて行ってよ。」
人の顔色を窺うような作り笑顔で見上げられて、泣きそうになった。きっと今までに一度だって、井ノ原には縋る人さえもいなかったのかもしれない。
 
 ただ見せたかった。この世界中にはきれいな場所がたくさんあって、生ける者であるならばそれを自由に見たり、望むままに触れたりすることが許されているのだと。
 故郷に、どこの誰が造ったのかは知れないコスモスの迷路がある。これでもかと咲き誇るそれらは風に揺れると、虐げられながらも懸命に生きる、井ノ原のようだと思ったと言えば人は笑うだろうか。
「ここでなら、かくれんぼとかできそうだね。」
「ああ、ガキどもはやってるぞ。」
「そうなんだ。こんなところが遊び場だなんて、羨ましいなぁ。」
「お前も、これからは毎日遊べるじゃねぇか。」
「毎日、遊べる。かぁ。」
楽しくて仕方のない毎日が、訪れると信じて疑わなかった。
 
 儚い自由を彼は堪能しただろうか?最期の瞬間だけは幸せだと、思ってくれただろうか?
 コスモスの迷路の中で、彼は眠るようにこれから続くはずの時間を終えた。目を閉じる間際に彼が笑顔を交えながら零した言葉は、きっと一生消えることのない楔になる。
「あそこじゃないどこかで死にたいって、それが俺の願いだったんだ。」
 
 
 あと数分で夜へと達するであろう空の天辺に、星が流れた。ここではないどこかで死ねますように。井ノ原の願いは叶い、これからは井ノ原とたくさんの時間を過ごせますように。坂本の願いは叶えられることがなかった。
 そしてあの日から坂本が繰り返し願うことは、叶う願いであるよう、希う。
 
 

 
 あの場所ではないどこかに来た井ノ原が、今日も世界で一番幸せに笑っていればいい。
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HN:
ごとう のりこ
性別:
非公開
職業:
妄想家
自己紹介:
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