本日はエピローグ。
この前にどんなストーリーがあったのかは、ご想像にお任せいたします。
何者とも混ざらない
≪エピローグ≫
この気高く高貴なる血を守ること以上に、大切なことなどこの世には存在しない。代々続く誇り高き人種こそがすべて。紛い物を排除し、ここに偉大なる国家を築き上げることこそ、永遠の使命である。
パスポートとビザとある程度のお金があれば国境を越えて好きな国へ行くことができる。それは大昔の話。命の重さに差異はない。それは、大昔の甘い戯言。
自由に満ち溢れた国だとか、人種の坩堝だとか、そんな形容は必要ない。純粋なるこの国の血を持つ者だけが存在すればいいのだ。他所の国がどうなのかなど知ったことではない。この国、この大いなるわが国だけが永き庭たる繁栄を勝ち取るために、答えを知っていればいい。異なる血の流れる人間など、排除してしまえ。
「すべての純粋でないものがこの地から消えてしまっても、俺はまだここにいることができるの?」
「当然だ。あなたは高貴なる純血の人間なのだからな。」
「例えばそれは、俺が紛い物との共存を望んだとしても?」
「何?」
「君を裏切って、紛い物の青年を匿っていたとしても、当然だと言える?」
「そんな子供みたいなくだらないことを言うなんて、あなたらしくもない。何か気に入らないことでもあった?」
「俺はね、井ノ原がかわいそうで仕方ないよ。血に縛られて、狭い世界の中で孤高の王様でいることに気付いていない。なんて、寂しい人なんだろうって、思う。」
「長野くん、その言葉は俺に対する侮辱に値する。」
「だったら俺も殺す?紛い物みたいに。」
人間は何も分かっていない。そうやって傲慢な理想論を振りかざせばかざすほど、この国は穢れていくのに。紛い物の排除こそが、この国を守り、この世の頂点へと君臨させる最高の手段だということを、どうして理解出来ないのか。そんな愚かな人間は、この国には必要ない。
「愚かだな、長野くん。あなたはこの国の秩序を乱す不穏分子に、自ら成り下がった。」
「井ノ原は本当に、悲しい人間に成り下がってしまったね。」
汚らわしきは、排除するのが正義。
独裁者だと罵られようが、孤高の王だと陰口を叩かれようが、進むべき道はたった一つ。純粋な血を有する人類のみに、輝かしき未来を。
井ノ原 快彦 とある国に代々続く、古くから純粋にその地のみの血を持つ家系。
侵略と殺戮を以って純血の人間以外のものを排除する。
長野 博 井ノ原の古くからの親友で、やはり純血の家系。
混血の人間と出会い、井ノ原の犯した間違いに気付き始める。
坂本 昌行 他国から亡命してきた混血の軍人で、長野と友人となる。
この国のあり方に疑問を抱く。
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