記録文書 ④

イノ誕生日突発企画、第４回です。

９係。

浅輪の階級にビックリしました。
巡査なんだ。巡査なのに、しかも20代なのに捜一の刑事なんだ。
さすがドラマです。

あ、でも９係に配属されたってことは、うーん、その評価も垣間見える？

４月２８日

 

　剛からボーリングのお誘いメールが来たので急行した。

　行ってみると、テンションＭＡＸの健くんと疲労困憊の剛がいて、ああ、一人では手に負えなくなったから呼んだんだなぁって納得。もう楽しくて仕方なくなってる健くんは、臨時収入があったから、パーッと使うんだ。って嬉しそうに言ってさ、ご飯までおごってくれた。一体いくらの収入があったんだろう？値段の書いてない寿司屋に行こう。なんて言い出すから、慌てて回ってるやつでいいって止めちゃったよ。どんどん剛は不機嫌になっていくし、健くんはお構いなしだし、両方に気を回さないといけなくてスゲー疲れた。別れ際、健くんが俺に言ったことには本当にびっくりして、それが一番疲れたといえばそうなんだけどね。

 

「行方不明になった衛星がさ、降ってきたら日本は大惨事だよね？ってか壊滅？それは大げさかー。」

・・・・・ある意味するどいかも。

 

　あと、１９日。

 

 

　４月２９日

 

　長野くんから電話がかかってきた。今にも泣き出しそうな声で。

 

　新しい環境衛星を打ち上げる話が決まったらしい。懲りないな、政府。しかも、また開発をウチに任せてきたらしい。学習しないな、政府。前回の事故を教訓にして――。みたいなノリなんだって。いやいや、教訓も何も、会社が分かってることなんてほとんどないから。原因不明のまま、平行線辿っちゃってるから。で、長野くんは上司に何度も反対だって言ったみたいなんだけど、見事スルー。怒って上司を怒鳴りつけて紙ベースの書類を手当たり次第にシュレッダーに突っ込んで、会社を辞めたんだってさ。

そりゃあね、事故当時は本当に大変だったもん。マスコミにもいいだけ叩かれたし。何よりクルーの家族への対応をするのがさ、ホント凹んだ。実際にあるんだよ。「人殺し！」って石投げられる場面。二度としたくない初体験だったけど。でも、会社の上の人間は「調査中です。」の一点張りで押し通せしか言わない。謝ったり下手なことを口走ったりしたら、こっちの失敗を認めることになるからだろうけど。俺と長野くん、矢面で見離されました。特にプロジェクトの責任者だった長野くんは、ものすごく悩んでた。俺がどれだけフォローの言葉とかけても届かない。そのうち自殺でもしちゃうんじゃないか？って本気で心配した。俺には坂本くんがいてくれたけど、長野くんはどうだったんだろう？肩書きって凶器でさ、俺は開発主任だったから、それはもう凄かったわけ。坂本くんの家に居候するきっかけだって、この事故だもん。いろんな人がマンションまで押しかけてきて大騒ぎになって、出て行かざるを得なくなった。みたいな。

とにかく、当事者は大変だったと。もう語り尽くせないくらいに。それをさ、舌の根も乾かないうちに次の衛星の計画とか、バカじゃん。長野くんの選択は、正しい。

 

　俺は知ってる。これから起こることを。だから、余計に今回の決定に腹が立つのかも。

 

　あと、１８日。

 

 

　４月３０日

 

　久しぶりに坂本くんのお父さんの『ちゃぶ台クラッシュ』を見た。

　原因は夕食のおかずの最後の１個の取り合いで、坂本くんに負けたことだった。

 

　あと、１７日。