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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
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No.118
2007/12/11 (Tue) 23:18:48

更新強化月間11日目です。

今日のリーダーは歌舞伎町モードがオフでしたね。

残念です。


さて、予告編は謎のお話。






Rejection

 

 (どーしてこういう日に限って・・・)

観測史上初とも言われる吹雪で視界が最悪の中、小走りでテレビ局に向かいながら井ノ原の頭の中はグチ全開。大雪の日に限って大幅に寝過ごし、寝過ごした日に限って路面状況が最悪。車で出るに出られず、大通りに出てもタクシーの1台も通らない。公共交通機関を利用しようにも、雪のせいでダイヤ乱れまくり。仕方なく、時間と格闘しながらテレビ局まで全力疾走・・・もできず、必死の小走り。

 今日は久しぶりに6人でロケの予定だが、この状況で一体何のロケができるというのだろうか。携帯をマメに気にするが、ロケが中止になったという連絡もない。今までのことから考えて、きっと強行突破するのだろう。そこが他所とは違うところ。なぜかあの番組のスタッフたちは、出演者が芸人でもないのに何かハプニング的な状況に遭遇すると、おいしい映像が撮れるのではないかとノリノリになる。確かに、内容はバラエティ番組なのだし、それは願ってもないことなのだろう。分かっているのだが、いただけなかった。遅刻する可能性大という現状が、自分を苛立たせている。車だったらこんなことにはなっていなかったはずなのだから。

(何でタクシーも走らないくらいの雪よ!遅刻したら坂本くんが怖いじゃん。)

いや、遅刻は悪いことで、その場に坂本が居合わせなくても、いずれは耳に入って小言のひとつでも言われるのだけど、ロケ前は勘弁して欲しい。著しくテンションの下がること請け合いだ。他のメンバーはもう来ているだろうか。全員が雪で遅刻なんて都合のいいことには・・・まずならないだろうし。

 テレビ局が見えた。集合時間まであと2分。なんとか滑り込めそうだ。井ノ原はやや小走りのスピードを上げる。この大雪では人通りもない。おかげで周囲を気にせず思い切り急ぎ足になれたのだけれど、局目前で向こうから歩いてくる人影。同じく遅刻ギリギリのメンバーだろうか。なんて思ってみたが、その人はあっさり局の前を通過。同士ではなかったらしい。そんなただの通行人が至近距離まで来て、姿を確認できるなり、「ラッキー」が歩いてきてくれた!と、井ノ原は思わず足を緩める。

「おはよう長野くん!・・・・って、え?」

頭の中にものすごく大量に発生するクエスチョンマーク。いつもと違う。井ノ原が長野だと認識して声をかけた男は、笑顔で会釈をよこして井ノ原とすれ違った。どんなに急いでいても見間違えるはずがない。すれ違った男は確かに長野本人で、井ノ原の姿が見えたから歩いてきてくれたのかと思った。ところがスルー。会釈のみ。まるで偶然会ったご近所さん状態。こんなにも仲間に他人行儀にされては黙ってやり過ごせない。井ノ原は会釈して通り過ぎた長野であるはずの男の背中を追って歩く。ところが思いのほか早足で、多少小走りで追いかけないと見失いそうだ。井ノ原は男の背中を追う。追って、追って、長野らしき人物が細い路地に入るべく曲がったので、井ノ原も同じように曲がった。が、そこにはもうその姿はなかった。曲がった先は一本道。脇道さえも見る限りはないし、家や店の裏口などもない。

(長野くんが消えた。長野くんが消えたし・・・俺は遅刻決定だ。最悪。)

 

 そろそろと集合場所に顔を覗かせて、井ノ原はすぐに壁に沿って隠れた。メンバー5人の楽しげに会話をする姿が視界に入ったからだ。5人・・・。5人?

「なんで長野くん!?

びっくりして思わずメンバーの前に飛び出して、もうその場に坂本がいるという事実なんてすっ飛ばして、長野に詰め寄る。

「なんでここにいんのよ!何、今来たの?ってかなんでさっき無視したんだよ!」

「ちょっ、井ノ原っ、なんなんだよ。」

「あんなトコに近道あったって?いや、ホント、そうでなくてさ、なんで俺のこと無視したんだって聞いてんの!」

「待て井ノ原。事態が飲み込めない。」

「飲み込めねぇのはこっちだ!長野くんがあんなまぎらわしいことするから、俺が遅刻したんでしょ!」

「落ち着いて話してって!俺は今日、井ノ原と会ったのは今が初めてだよ。」

「はぁ?じゃあさっきのは何だったってんだよ。」

「井ノ原、何をそんなに興奮してる?今までの話では、まったく意味不明だぞ。」

坂本に視界に割り込まれてまで言われて、少しクールダウン。井ノ原は頭の中でこの数分間の出来事を整理して、ゆっくりと順を追いながら話し始めた。その話の中に、それさえなければ自分はギリギリで遅刻せずにすんだ。というフレーズが何度も飛び出して、いい加減面倒くさくなった坂本が、遅刻したことはもういい。怒らないから。と妥協する。

「じゃあお前は、俺のそっくりさんを見て、追いかけてるうちに遅刻したんだね。」

「そっくりさんじゃねぇっつってんの。あれは長野くんだったんだ。」

「見間違う事だってあるでしょう?」

「ない。あのなんだか意味ありげな笑顔は長野くんだよ。」

井ノ原は絶対に譲らない。けれどすでに集合場所に来て、みんなと歓談を楽しんでいたのだから居合わせることはできない。話は延々とその平行線を辿り、結局、ロケの時間があるから。というスタッフの言葉で有耶無耶のままにされた。どこか消化不良な井ノ原は、かなり不機嫌。長野は苦笑して、延々と優しくなだめておいた。

 

 次のスタジオ収録日に、まったく同じような理由でよりによって坂本が遅刻したものだから、身に覚えのない長野でさえ真剣に取り合う気になってくれた。やはり井ノ原のときと同じで、爽やかに笑顔で会釈をして通り過ぎて行ったらしい。そして判明した共通点はといえば、すれ違った長野の本物もどきは、この寒いのに上着も着ずに、薄手のシャツを羽織って平然と歩いていたということ。追いかけると勢いよく引き離され、結果、見失って終わるということ。だが、それだけでは情報不足もいいところ。6人は長野らしき人物を捕まえて事実確認をしようと決めるが・・・・・

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