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V6井ノ原快彦氏主演の妄想非恋愛小説を取り扱っております。
No.
2024/05/10 (Fri) 00:04:55

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No.231
2008/06/27 (Fri) 21:57:51

アンラブリンク祭り。『梅雨入り企画』出展作品をアップしました。


さて、リーダーのギャラリーが更新されておりましたね。
タイトルの『シェリー』を見て、
ああ、リーダーの中で尾崎がパワープレイなんだ。
と勝手に思い、
実際に絵を拝見いたしまして、
ああ、そっか。NYでこういう風体のシェリー氏に会ったんだな。
と勝手に納得。

で、なぜシェリーなんですか?リーダー。


出演 : 坂本 昌行 ・ 井ノ原 快彦 ・ 三宅 健










驟雨
 
 
 この世界をフラットな視線で見渡したとする。色というモノが存在するなら、生きているといえるだろう。逆にモノクロならば、それは生きながらにして死んでいるに等しい。止まっているのか、終わってしまったのか。いずれにせよ意味は成さず、ゼロの価値観を垂れ流し、無様に足掻いているのだ。つまり醜態を晒している。それでも消えることを選択しないのは、女々しくも未練があるからだろう。己の傲慢でしかない望みを、捨てきれずしがみついている。だとしてまだ生きる意思を残しているだろう彼は、救いの手を差し伸べてくれることがない。たった一つの真実、そこにたどり着くことが出来れば、すべては丸く収まるというのに。
 
 黒いスーツ、2本の折りたたみ傘、電源が入れられることのない携帯電話、シルバーの指輪、長すぎる前髪、くすんだ瞳。
 むせ返るほどあふれる人間の中から、それらすべてを持つ彼だけを探していた。他の何も意味を持つはずがない。存在意義は皆無。手を伸ばしてもすり抜ける虚しいそれだった。今日、この瞬間まで。
「相変わらず、不景気なカオしてんだね。」
まったくの別人である男の高く特徴的な声は、よく知るお決まりのセリフを当たり前のように紡いだ。左手の人差し指と中指に、あのシルバーの指輪。まるで彼の複製品である風に、そこにいる他人。
「今日は夕方から雨になるよ。」
とてもよく出来た、レプリカと判断すべきか。手渡された黒い折りたたみ傘、黒いスーツ、シルバーの指輪、長すぎる前髪、くすんだ瞳。
「誰だ?お前。」
「健ちゃん。って井ノ原くんは呼んでくれるよ、坂本くん。」
残酷な白昼夢だ。
 
 支配者の座を射止めたのは、言い知れぬ恐怖感。モノクロの世界で唯一、陽の光を受けて視覚に光という色という情報を与えた茶色い髪は、サラリと揺れては主張する。これこそが真実であり現時点における答えなのであると、それを確証付けるべく核心に触れることをしないのは、諦観が幾分か自らの望みより勝っているからであろう。彼は、きっともういない。
「あ・・・・・」
ごく小さな呟きが耳に届き、同時にか細い雫が降り注ぐ。
「やっぱ井ノ原くんみたいにはいかないか。大幅に読み違えちゃった。」
生業にそぐわぬオレンジ色の折りたたみ傘。強い印象を残すそれに、「健ちゃん」は微塵の違和感も見せない。今となってはもう、自分こそが井ノ原快彦なのだと断言するかのように。
「驟雨、あの日もこんな天気だったっけ。」
あの日がいつを指しているのかを、よく知っている。
 
 彼、井ノ原快彦を刺してしまった理由は、子供のケンカよろしく下らなかった。ただ虫の居所が悪かっただけ。たったそれだけ。遺した大きな後悔は彼を刺してしまったということではなく、最後まで見届ける余裕を持ち合わせていなかったこと。死に匹敵する傷を押し付けて、無責任に背を向けた。どれだけの時間を費やしたとして消えることのない、深く剣呑な罪の意識。
「まだ生きてるよ。よかったね。」
紛れもない真実だと決定付けられるのは、彼という存在が世界中のすべての人の中から消え去ってしまったわけではないということ。
「ただいま、坂本くん。」
緻密に計算された手段だったのかは知り得ない。果たして彼が誰で、井ノ原とどういう関係にあるのかも皆目見当が付くはずもない。ただ、手の施しようのないほどに絡まりあった思考とは裏腹に吐き出された言葉は、
「おかえり。ずっと、ずっと探してたんだぞ。」
本当の想いに還元されるに等しい、純粋なものだった。
 
 汲み取った過多なる望み。驟雨に洗い流されて、消えてしまわぬように強く抱きしめる。伝わる温度は、ニセモノだとしても充分すぎるほどにあたたかく、凍てついた時間を溶かすには余りあるほどに確かだ。
 
 

                   
 以下、コメント原文掲載です。
 
 
 
Denied existence value』管理人ごとうのりこです。
梅雨入り企画に参加させていただき、ありがとうございました。
 
にわか雨のこと、本当は驟雨っていうんですよね。というのを以前、何かの本で読んだような気がします。
シリアスなシーンに雨が途中から降り出すのは、結構好きなシチュエーションでして・・・今回は張り切って書かせていただきました。
 
ということで、ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます。
とても楽しく書かせていただけました。
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